j.union株式会社

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2020.06.01
領域Aの組合活動とは何か

3月から前月号までの3回にわたって、図表に示した領域Aでの新たな組合活動の必要性を述べてきました。

今月号では、領域Aでの組合活動の別名である、個別的労使関係での分権的組合活動について、私はどのように定義しているかを述べようと思います。

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まず、個別的労使関係の定義ですが、それは次のようなものです。
日々の職場で、個々人が上司と部下との関係において、仕事の内容や方法の決定、仕事の分担や目標の決定、能率増進策の立案、職場規律の設定、配置転換や有給休暇に関する決定にかかわる面談、さらには、半年ないしは1年単位での目標管理・人事考課制度での個別面談する関係性のこと。
このように定義すれば、今日だれもが、働くことが一番関心の高いものであるとお分かりいただけると思います。組合活動に組合員一人ひとりのコミットメント(関与)を引き出すには、これに限ります。
一方、これまでの労働組合が、集団的労使関係で集権的組合活動に取り上げるテーマは、組合員に共通する、かつ最大公約数的なものになっていますので、自分の顔が見えない、人ごとになってしまい、組合活動へのコミットメント(関与)を一番引き出せないものであることが、お分かりいただけると思います。

次は、分権的組合活動の定義です。
職場の末端にいる労働者をふくむ従業員の全体が、直接、従業員代表を通じてではなく、個々の労働者の一番の関心事(上記の個別的労使関係)に関する経営的意思決定に参加し、その遂行を自主的に管理運営することができるようにする、労働組合主導による職場の自主管理をめざす自律的な集団活動のことです。

ここでいう自律的な集団活動とは、尾高邦雄(1995)の言うところの、会社のフォーマルな組織の基礎単位として、日常の正規業務に従事する常設的な作業小集団のことです。
与えられたタスク(正規業務)のこなし方や具体的なそれの達成計画を、各小集団自ら自主的に決め、それをこれから各小集団自身の管理と責任のもとに自治的に達成していくものと定義しています。
そして、その自律小集団のリーダーは、かならずクループメンバーのなかから互選あるいは推薦によって自由に選ばれなければならない、としています。このリーダー選出の結果について当該小集団から届け出がありしだい、会社によって公式に任命され、リーダーとしてのかれの権限や職責も、会社によってフォーマルに認められるものとする、としています。
このような参加と自治の体制が職場に確立されることをめざして、働く人びとの職場において主体性と自主性を回復させる活動です。

さらに、尾高は、自律小集団活動でのリーダーの役割を次の7つであるとしています。

1.自律小集団の代表者として、グループの外側にいる職場のボスや技術職員、または同列の他の自律小集団のリーダーたちと折衝し、情報交換し、またたがいに協力すること。...リッカートの「連結ピン」の役割を担う。
2.タスクの達成計画にグループメンバーが積極的に関与するように仕向ける。
3.決められた達成計画を遂行するプロセス及びその結果について、メンバー全員の協力による自主管理が有効に行われるように指導すること。
4.内部におけるチームワークが有効に行われるように常時注意をすること。
5.メンバー各自の能力、性格、欲求をよく理解して、各人が仕事の上でできるだけその個性と能力を発揮し、その必要や欲求を充足するように配慮すること。
6.自律小集団に対する技能向上のための、またチームワーク充実のための教育訓練が行われる場合、それがメンバーの各人にいきわたるように仕向けること。
7.その他、職場の運営に関する諸事項、例えはグループメンバー相互間の仕事のローテーションの計画、メンバーのレクリエーションや有給休暇の立案、仕事場の安全衛生管理、機械や装置の保全や修理などへの配慮も、リーダーが率先して行うべき事柄である。
(尾高1995:232-233)

そして、自律小集団の機能については、次のように指摘しています。
「企業組織の末端職場における日常の正規業務に従事し、しかもこれをグループ自身の管理と責任のもとに達成する集団である。また、自主管理活動の前提として、これらの小集団は、業務遂行のための具体的方針をも、グループの外側にいる第一線管理者や技術職員の指導協力を得て自主的に行う。この意味で、自律作業小集団の主要な機能は、会社から課せられた正規業務の遂行における自主決定と自主管理の活動であるということができる。」(尾高1995:234)
私のいう「個別的労使関係での分権的な組合活動」とはこのような「自律小集団」の形成とその実践のことです。

参考文献
尾高邦雄(1995)『日本的経営―尾高邦雄選集第5巻』夢窓庵

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