j.union株式会社

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2020.10.08
~情味と薬味~ vol.1【徳芯塾⑩】

※「塾話芯噺」は、過去の「徳芯塾号」vol.1~9の継続企画であり、「徳芯塾号」の記事は、過去のj.unionジャーナルに掲載されております。


2014年に開塾した徳芯塾も、この10月から第7期が始まる。
70名に及ぶ方々とともに学んできた。
1年間という期間は、出会いからともに学ぶ仲間へ、そして卒塾後は意見交換や相互訪問などの互いを高め合う行動へ移行する助走期間であったのかも知れない。

人づくりを目指して
「己を磨く」
「人を活かす」
という塾の理念に沿った行動に、我が意を得たりとうなずく。

さてコラムを書くようにと求められた。
浅学菲才の身ではあるが、自らの精進のためとお受けした。
塾生に、何としても気づいてもらいたい。
その一念で、堅い話には情味を、柔らかい噺には薬味を添えて語ってきた
「塾話芯噺」をコラム名としたい。
コラムには徳芯塾のトピックスを交えながら責を果たしたい。

さて柿落としは、開塾から親身になってご指導いただいた廣田典昭氏執筆の「徳芯塾に期待すること」をお届けする。
廣田氏は本年7月にパナソニックグループ労連の委員長を、後進に譲られご勇退された。
労働界へのラストメッセージであろう......。

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「徳芯塾に期待すること」

パナソニックグループ労働組合連合会
前中央執行委員長 廣田 典昭 氏(ひろた のりあき)

新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界中でこれまでの流れが変わりつつあります。これまでは、グローバル化やボーダレス化、都市への一極集中、投資回収を最大化するための効率化が良しとされ、社会の構造も概ねそのように動いてきました。しかし昨今は、自国優先や自国生産の動き、テレワークを活用した都市機能の分散、一定のリスクを踏まえた余力確保やセーフティネットの必要性などが言われるようになってきました。
また、かねてより認識されていましたが、日本国内における少子高齢化の進展や格差の拡大による問題、さらには介護や育児に関する問題が今回のコロナ禍によりその大きさと深さを一気に増大させた感もあります。
私たち一人ひとりにとっては、政治への関心が高まったのではないでしょうか。自粛要請や新たな日常に向けての行動変容、そしてさまざまな給付金の支給など、良い悪いではなく、私たちの日常生活に政治における決定事項が日々次々と突き刺さってきました。「政治に対し、無関心であっても無関係ではいられない」ことを、身をもって実感することになりました。

このような個々人の価値観や社会構造までも揺り動かすような大変化に際して、私たちはどうあるべきでしょうか。

矛盾めいた話にはなりますが、私は、『「どうあるべきか、どうすべきか」という問いには、「こうあるべき、こうすべき」という正解は基本的には無いと考えることが、正解』だと思っています。とりわけ、前例が無い、経験が無い、知見が乏しい問題に向き合わねばならないときは、「こうあるべき、こうすべき」を自分たちで考えるほか無いのですから、過去の事例のみに正解を求めることはやめておいたほうが良いと考えます。
さらに大事なことは、「どうあるべきか、どうすべきか」という問いそのもの、すなわち目的設定が非常に重要になることです。大きな変化に際しては、多くの問題が起こります。中には見過ごしてしまう問題もあるかもしれません。それら多くの問題に優先順位をつけ、「どうあるべきか、どうすべきか」という目的を設定しなければ、組織としての動きは出来ません。
つまり、
・ 多くの問題の中から、どういう問題に着目するかを決め、
・ 「どうあるべきか、どうすべきか」という目的を設定し、
・ 「こうあるべき、こうすべき」というアプローチを考え、
・ 仲間の理解と共感のもと、取り組みを進める
ことが、変化の時代に生きる私たちにとっては必要なことだと思います。

それでは、私たち一人ひとりは何ができるでしょうか。今の時代、ネットで検索すれば膨大な情報は手に入りますが、個々人にとって肝要なことは自分を鍛えること、それも表面的な知識、情報や方法論ではなく、それぞれの考え方や行動の芯になるものをしっかりと持つことです。もちろん自己研鑽も大事ですが、他流試合での気づきは何物にも代えがたいものです。また、自分を客観的に見つめられる非日常な場面に身を置くことも、先達の方々から良質な刺激をいただくことも、直当たりで行動することも、最終的には、変化に向き合う際にブレない自分の芯をつくることにつながります。

『徳芯塾』にはそのすべてが詰まっています。
これまでの自分に頑なに拘るのではなく、受け身にならず、他との交流の中で新たな自分を見出す気概をもって、『徳芯塾』の門を叩いていただきたいと思います。

以上