j.union株式会社

労働組合の活動を
総合的に支援します。

2021.04.06
二足の草鞋「旅」 vol.3

従業員としての顔はあっても家庭人の顔、市民の顔はない。
今こそ、市民意識に目覚めて労働者の手による正しい住民運動や、当を得た消費者運動を創造していく時代ではないだろうか。
単組ではこの時すでに、企業内の賃金、一時金や企業内福祉と労働条件の改善のみに力を注ぐ8時間の運動から24時間の運動へ舵を切っていた。
民労協を通じて公害をなくす取り組み、より良い地域コミュニティづくりへの参画等々、地域活動を通じ労組の社会的責任を果たす活動も進めていた。
従ってこれからは地域活動に加え、自分たちの生活環境は自分たちの手で良くし、地域コミュニティづくりに自らが参画していくことを決めてきた。
本年7月(昭和45年・1970)の本部大会では、その推進役として「市民懇話会」の組織化を決定したのである。

そして市民懇話会(略称、市民懇)を組織する自治体は、当面居住組合員の多い6市(大阪府5市、奈良県1市)とし、この6市には組織内議員(現職2名、新人初陣4名)の擁立を予定した。
傘下各支部は、本部方針、並びに支部方針に則り職域市民懇を結成し居住組合員と連携を密にし、地域市民懇の代表であり組織内議員予定候補の支援の取り組みに着手しようとしていた。

わが支部では、新任政治部長である私に職域の市民懇話会の結成から始めよとの指示が出された。
本部方針議論の時は一介の組合員、記憶はほとんどなく改めて議案書に目を通した。
ただ、奈良から出る候補者の所属事業部、支部は元々この門真の地にあったという。業容の拡大に伴い昭和30年代の末に奈良に工場展開した兄弟支部であるとのこと。
従って支援方法は両支部で別途協議するのでそれまで待てとの注文がついた。
大阪府内の市民懇は、支部の組合員在住者の多い(30~60名の)A、B、C、Dの4市とした。
各々の市民懇には会長、副会長、事務局長を置き運営をする。
三役については役員OB、管理職などを中心に早急に決定する。
と決めた。


在住者名簿に基づいて三役候補をリストアップしても、顔と名前の一致は無論、人柄もわからず執行委員はじめ関係の方々と相談し候補者を絞り込んだ。
支部委員会では組織と体制のみを明らかにし、役員の氏名は順次伝えることにした。
市民懇話会が職場にあまねく伝わるよう周知徹底、情宣活動にも力を注いだ。
役員就任をお願いする方との日程の調整は困難を極めたが終業後を中心に設定した。
初めて言葉を交わす人、目上の人など尋ね役割を担っていただくお願いをする場は緊張の連続であったがアプローチの話は比較的スムースであった。


ところが市民懇の話題に移り、その長をやっていただきたいとお願いする場面で表情が一変してしまった。
一言でいえば、市民懇の必要性は分かるが、仕事や家庭の事情で、長は受けることができないというものであった。
私はこれからの組合のあり方は「一人一役みんなが主役」というキャッチフレーズの実践が必要だと訴えた。
過度な負担はかけないとも言った。
了解をいただこうと訴え、手を変え品を替え説得に努めた。
理解が得られるまで、日程を重ね話し合った。


そうこうしていると、人づてにいろんな話が入ってきた。
職場で市民懇の結成と役員が話題になっているのだ。
役員を受けた人は誰、要請を断っているのは誰それ・・・、あの人は断っているが中世古が何度も通っている・・・・とか。
見かねた人が「早く、返事したれ!」と言ったので、あの人は受けたとか。
支部委員、執行委員からは背中を押してくれた人、アドバイスしてくれた人の名をあげお礼を言うようアドバイスもあった。
職場のキーマンが市民懇を始動させようと援護射撃をしてくれたのだ、本当にありがたいと思った。体制が固まった。


一方、奈良への支援は「奈良の組合員宅を訪れ地域市民懇の協力要請をする。そのために1名を週1回(土、日のいずれか)派遣する」となった。
無論、担当は中世古。 
京阪、国鉄(当時は)、近鉄と乗り継いだ。最寄りの駅で下車すると地図を頼りに組合員宅を求めて歩いて歩いて歩き続けた、「表札たずね旅」であった・・・・


字面にするのが難しい取り組みも加わり、年が変わって4月。
厳しい選挙戦であったが、6市、すべての組織内候補は当選させていただいた。
とりわけ市民懇を通じて心と体を動かしてくれた方々が当選を喜んでくれたのが何より嬉しかった。感無量であった。


「一生懸命やれば知恵が出る
 中途半端にやれば愚痴が出る
 いい加減にやれば言い訳が出る」  は戦国武将の箴言


「一生懸命やると支援が得られ知恵が出る」と付け加えたい・・・


執行委員として約束をした。決意、思いも吐露した。
約束手形を切った。
その手形を一つずつ落としていくことが労組の信頼を高めることになる。


以下 次回に・・・

 
 

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