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2021.11.19
グレタさんの叫び

【あなた方は私たちを裏切っています。しかし、若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。
もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います。「あなたたちを絶対に許さない」と。
私たちは、この場で、この瞬間から、線を引きます。ここから逃れることは許しません。世界は目を覚ましており、変化はやってきています。あなた方が好むと好まざるとにかかわらず。】(「NHK政治マガジン」9月24日)


スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんは、国連で開催された前回の「温暖化対策サミット」で各国の代表を前に行った演説の最期をこう締めくくった。
しかし案の定というべきか、高校生の環境活動家として脚光を浴びているグレタさんに対して、地球温暖化に否定的な人々は彼女への攻撃に力を注ぐ。


【ニューヨークで開かれている国連総会で大きな注目を集めるスウェーデンの「環境少女」グレタ・トゥンベリさん(16)に国際社会で称賛の声が広がる中、地球温暖化に懐疑的な米国の右派メディアや専門家は「環境ヒステリー」などと激しい攻撃を続けている。FOXテレビに23日出演した専門家は「両親に洗脳された精神障害のスウェーデン人の子ども」と表現。トゥンベリさんは自分が発達障害の一種アスペルガー症候群と公言しているが、さすがのFOXも「不適切だった」と謝罪し、この専門家を番組から降板させた】(「共同通信」9月25日)


さらにアメリカでは目の前の利権を優先させる議員の批判が続く。
【〔ワシントン=塩原永久〕英国で月末に始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、バイデン米大統領が巨額歳出法案の議会通過を急いでいる。温暖化対策を盛り込んだ法案が成立しなければ、米国の温室効果ガス削減目標の実現が危ぶまれ、バイデン氏が演出したい国際指導力に傷がつきかねないためだ。法案に反対しているのは、石炭産地出身の与党・民主党議員。バイデン氏は身内の抵抗に手を焼いている。(後略)】(「産経新聞」10月23日)


そして日本でも、温暖化の深刻さを認めない人々の批判が起こる。10月25日には、北海道小樽市で衆院選の街頭演説に立った麻生太郎副総理はこう主張した。「昔、北海道のコメは『やっかい道米』と言われるほど売れないコメだった。今はその北海道がやたら美味いコメを作るようになった。農家のおかげですか?農協の力ですか?違います。温度が上がったからです」と。


この農家の努力を踏みにじり、温暖化を歓迎するような発言にさっそく非難が殺到した。
【北海道大学農学研究院の専門家は、品種改良に加え、栽培技術や収穫後技術の改善を積み重ねた結果だと指摘。北海道米がおいしくないといわれていた1980年から取り組んできたのが農家や農協、それに農業試験場や研究者らだ。川村さんによると、①品種改良②栽培技術③収穫後技術の3点が、北海道産米の食味向上のポイントだという。】(「ハフポスト日本版」10月26日)。【この発言が報じられるとSNSでは、「品種改良の努力を踏みにじっている」などと批判の声が相次いだ。】(同上)
さすがに岸田総理も25日の同じ北海道の街頭演説で、(麻生氏の発言は)【「適切ではなかった。申し訳ないと思う」と陳謝した。】「NNニュース24」10月27日)


こうした各国の環境問題への対応に不満を漏らしているのはグレタさんだけではない。イギリスのエリザベス女王もこう述べている。
【気候変動に関する国際会議=COP26の開催が来月に迫るなか、開催国イギリスのエリザベス女王が世界の指導者たちに対して「話をするだけで行動していない」と不満を口にしました。
映像は14日、ウェールズ議会の開会式に出席したエリザベス女王がチャールズ皇太子の妻・カミラ夫人らと立ち話しをする様子が捉えられたものです。
そのなかで、エリザベス女王は「COP26についてよく耳にしますが誰が来るのか分かりません」と述べ、出席するか態度を明らかにしない各国の首脳に苦言を呈しました。また、「話をするだけで何も行動しないのは本当にイライラします」と述べ、気候変動の問題について具体的な行動が取られていないことに不満を漏らしました。】(「テレ朝ニュース」10月16日)


環境問題はかなり前からさまざまな取り組みが行われている。2015年9月の国連サミットは、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」としてSDGs(持続可能な開発目標)を、加盟国の全会一致で策定したが、それより以前の2009年、インドネシアのバリ島では「グリーンスクール」が創立されている。
「グリーンスクール」はバリ島の熱帯雨林の中にあり、「持続可能な社会を担うリーダー育成」を掲げて運営されている。
この「グリーンスクール」は、世界中のメディアに取り上げられ、入学希望者が殺到する学校である。その特徴は不要な消費・汚染を防ぎ、かつ燃料も循環型という、環境を重視した運営をしている。


汚れ行く地球の未来を心配して環境問題に取り組む若い人々は日本にもいる。
このインドネシアの「グリーンスクール」に留学し、日本人女性として初めて卒業した20歳の環境活動家、露木志奈さんである。

露木さんは、高校時代に巨大なごみ山を見て、「自分にできること」を模索し始めた。妹の化粧品かぶれをきっかけに、環境と肌に優しい口紅づくりの研究も始めたという。
露木さんは、「今後、気候変動の影響を一番受けるのは自分たちや若い世代の人たちだと思っているので、年齢が近いからこそ届けられるものがあるんじゃないかと思う」と講演で訴えている。そして、さらに若い人に向けて、「大人になるまで待たなくていい」と語っている。


気候変動はすさまじい勢いで世界中に起きている。「グリーンピース・ジャパン」(5月6日)から引用しただけでも次のようなものが挙げられる。今や待ったなしなのだ。 


2020年1月 インドネシアのジャカルタで記録的降水量を記録、少なくとも17人が犠牲に。
        オーストラリアの山火事 全土で34人が犠牲に。今季は3000棟の家屋が破
        壊。
     3月 オーストラリアのニューサウスウェルズ州の洪水。何千人もの人が避難。
        台湾での干ばつ。56年ぶりの干ばつで政府は緊急事態を宣言。
     5月 インドとバングラデシュを襲ったサイクロン。数十年で最も激しいサイクロンで
        数百万人もの人が避難。
     6月 エルサルバドルで暴風雨。18人が犠牲に。数えきれない家屋や道路が破壊。
     7月 日本での洪水と土砂災害。西日本で62人の犠牲者。
        シベリアのタイガの森で山火事。呼吸困難症への懸念。
     8月 韓国で54日間の及ぶ激しい雨。46人の死者・行方不明者。8000人以上の
        人が家を失う。
        ブラジルのアマゾンとパンタナール湿地で記録的回数の火災。
     9月 アメリカ西海岸で記録的熱波、多数の山火事、9300㎡が焼却。
        メキシコのカリブ海を襲った最大風速110メートルのハリケーン。
    11月 歴史上、最も威力のある台風の一つがフィリピンを襲う。20人の死者、100
        万人が避難。
2021年1月 東アジア、欧州、北米の寒波。日本で13人、スペインで4人の死者。
        北米全体では停電が発生、何百万人もの人々が氷点下の中で生活を余儀な
        くされる。
     3月 中国での黄砂。北京は黄色い靄に包まれる。
     6月 北米で49.5°Cの熱波が発生。ブリティッシュ・コロンビア州では何百万
        人もの死者。


最後に、今年10月のCOP26にあたって、開催地イギリスで市民デモが行われたが、その際に演説したグレタさんの声に耳を傾けてみよう。
【「世界のリーダーたちは積極的に抜け穴を作って、自分たちが利益を得るための枠組み作りをしている」と非難。環境に配慮しているように見せかけることを指す「グリーンウオッシュ」という言葉を使い、「COPはリーダーたちが美辞麗句を並べたり、格好のいい目標を発表したりするPRイベントに成り下がっている。北半球の先進国によるグリーンウオッシュ祭りだ」】(「毎日新聞」11月6日)


私たちは次代の人々への責任を果たさなければならない。社会正義をかざす労働組合がどう取り組むのか。そして個人としてどう考えるのか。
容赦なき気候変動は私たちに行動するよう求めている。

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