j.union株式会社

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2022.09.08
「二足の草鞋」から「二闘流」へ③
製品開発委員会に組合代表の出席を求む vol.8

組織変更の申し入れは、労働条件の大きな変更を伴わない限り労使協議においては「諮問」の範疇に入る。
長年培ってきた労使関係では、諮問であっても双方の合意が得られるまで意を尽くす、あるいは次のステップに移っても話し合いを重ねるという慣行があった。


前号では、会社が行った組織変更では今後の業務に支障が出ると再考を繰り返し求めていた時、新たに就任した社長の英断で労働組合の提案に沿った決定がなされたことをお伝えした。
正しいと信じたことは意見具申する。
理解が得られなければ、さらなる検証に基づき理解が得られるまで訴え続けることの大切さを改めて知った。
創業者語録にある「説得する権限は君にある」ということであり「命に逆らいて君を利するこれを忠と謂う」ことであろう。貴重な経験を得た、今後とも大切にしていきたい。


白物の関連事業部から歓迎され電化総括本部の仲間入りをし、その後製造・販売を統合した新事業部が発足した、新たな事業部長とともに。
赴任の日、三役でお会いをした。
「1週間、時間をいただけないか? 課題と今後の計画案を作成したうえで、みなさんからの話を伺いじっくりと話し合いをしたい。ご理解をお願いしたい」とのこと。
緊張と気合の入った様子に、赴任にあたって厳しい要請を本社や関係者から受けてこられていると感じた。
異論あろうはずなく了承した。
人事に、赴任前に経営概況の報告をしたのか確かめると、新事業部長から「就任前の報告は不要。前任者の立場を考えよ。すべては自分が赴任してから始める」ということであったとのこと。
経営者の厳しさ、サムライの片りんを感じた。


ここで当時の事業部制について触れておきたい。
日本のいくつかの企業では、オイルショックから立ち直り新たな展望を目指す経営スタイルとして事業部制がもてはやされていた。
松下の事業部制は、創業者の人生観、人間観をもとにした独自の発想によるもので、経営理念、経営方針とともに「人に任せて人を育て、経営者を育てる」という「自主責任経営」の遂行にあった。
だから事業部制の時期があれば事業本部制、社内分社制という形態をとるときもあった。
その事業部制は、創業から15年後の1933(昭和8)年に始まっている。


事業部長は、承認された事業計画を経営方針に則り進めていく。その過程で
・昇給は本社の指示。
・借入金先は本社のみ。
この二つ以外は事業部長の権限として認められていた。
だから松下の事業部長はまさに小型社長であったのであろう。


新事業部長のF氏から中期的にはシステムキッチン、システムバスへの展開を含めた商品陣容の充実を目指す。
短期的には部門別の経営管理の導入を図りきめ細かな経営を推進していく。
労使間においては事前の話し合いの場を充実したい。労使協議会は月1/回であるが懇談の場はどちらかが必要と認めたとき、都度開催したい。などの考え方が提起された。


支部三役からは
・事業部長交代に直面するのは初めての経験である。
今日まであるべき姿を求め続けてきて今日がある。その責任の大きさ、重さを承知している。思いを共有して今回の決定が正しかったことを内外に明らかにしたい。
・中期を目指して他の関連事業部との関係回復に努めてもらいたい、同時に中期のシステム商品開発のリーダーシップを発揮できる事業部にならなければならないと思っている。尽力をいただきたい。
・職場は、無線総括本部時代の疲れが残っている。
方針の実践のために要する期間を与えてほしい。
新たな経営管理制度の導入の必要性について十分な話し合いを行ってもらいたい。
我々も遠くを望遠鏡、近くを顕微鏡で観ることが必要だと思っている。
・人材の発掘と育成にも取り組んでもらいたい。幹部の人材育成にも取り組み、その結果が内部昇格で事業部長が誕生するよう願っている。
等々、職場組合員の総意を伝えたが多くの点で合意が得られた。


それから1週間の後、F氏が三役に会いに来られた。
「お願いしたいことがある。先日の話でも今後の商品開発と関係事業部との連携が大切であると認識が一致した」
「今日はそのために、今までの商品検討会を改めて、製品開発委員会を新設し、労働組合代表の参加をお願いに来た」
「本社本部間で協議している経営参加制度は、制度として結論が出るまで待つとして、事業場―支部においては内輪で独自に早く進めたい」
「誰なのか? 人数? などは全てお任せする」
唐突感のある要請ではあったが、三役の話し合いでは経営対策の観点から前向きに考えてみようということになった。


組合代表とはどう考えるべきか?
労使協議会や労使間での発言と違い、組合員も出席している会議で会社の仕事について発言をするとは?
一人でもんもんと考えた
......以下、次号で......

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