2019.08.04
【働き方改革】働き方改革における労働組合への期待

2019年4月1日より、働き方改革関連法の一部が施行され、働き方改革は大企業だけでなく中小企業においても経営戦略の一つとして本格的に取り入れることが必要となった。

厚生労働省の定義で「働き方改革」とは、働く人びとが、個々の事情に応じた多様な働き方を選択できるようにするための改革であるとしているが、現在もなお直面している少子高齢化に伴う生産人口の減少や働き方の多様化に対して企業がどのように対応していくかは日本全体の課題といえる。もともと政府が目標にしていた50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる「一億総活躍社会」の実現がスローガンで終わることのないよう政・労・使がしっかりと対策を考えることが必要である。

◆働きがい・やりがいが付加価値の源泉
毎年年始に報告される「経営労働政策特別委員会報告」による「働き方改革」推進の考え方にも変化が表れている。2018年の委員会報告は、「働き方改革の推進と労働生産性のさらなる向上」として具体的な考え方においては、多様な人材が意欲と能力に応じて活躍できる企業・組織にしていくために、業務の効率化や限られた時間・労働力を活用しアウトプットの最大化、生産性向上を行うこと、つまり、長時間労働の是正を軸にした生産性向上を図ることでイノベーティブな働き方を目指す内容である。また、そのために大切な考え方として、経営トップのコミットメントとボトムアップの課題解決をポイントとしており、更には「働き方改革関連法案」労働時間制度の改正整備を具体化し2019年の施行の実現を果たした。
ところが、2019年の委員会報告では、「働きがいを高める働き方改革と労働生産性向上」とし、具体的な考え方としてこれまでの労働時間の削減は継続的に行いながら、これまで以上に「働きがい、やりがい」を感じながら付加価値の高いサービス・商品を生み出し労働生産性の向上を目指す、とし、そのための具体的な取り組みとして「挑戦する企業風土づくり」と「人材育成」として「働き方改革関連法案」労働時間に関する法改正の対応と知恵・アイデアが生まれる環境と社員の成長支援を具体的に進めることが大切だとしている。

2018年から2019年の変化としていえるのは、働き方改革が目指している革新的な手法と今までにない技術やアイデアを生み出しアウトプットを最大化させるイノベーティブな働き方を目指すためには、働きがい・やりがいを感じない限り実現することは困難である。そしてAIやRPAにはできない創造する力やアイデアを生み出すことが、働きがい・やりがいと密接に関係していると理解できる。そのためには、役職や在籍年数に関係なく一人ひとりが、挑戦したいことに挑戦できる企業風土の醸成も必要だということだ。

◆すべては職場の実態把握から始まる
今までの内容を踏まえると、今後、生産性の高い職場をつくるためには、風通しの良い職場風土を土台とした働き方の改善や職場の実態に合った制度づくりを行うことが必要といえる。
現在、私が働き方改革の推進を支援している組織では、職場の知恵やアイデアを働き方の改善へとつなげる取り組みにおいて、労組リーダーをファシリテーターとして職場労使懇談会を開催し具体的な業務オペレーションの改善を行い効果を上げている組織も出てきている。労使懇談会の事前の職場集会が特に重要で、真の課題を発見することや一人ひとりが感じている働く上での阻害要因を明確にすることで対応すべき課題も明確になる。また、来年には同一労働同一賃金がスタートする。待遇点検のために正規社員やパート・有期雇用労働者との直接対話による実態の把握をしない限り均衡・均等待遇を実現することは難しい。また、実態把握とともに正規社員の不利益にならないような制度や運用が職場で行われているかも確認する必要もある。

職場の実態を把握する力こそがますます必要となり、その上で一人ひとりの組合員が納得して働くことのできる職場をつくることが不可欠である。また、組合員はもちろんのこと職場で働く短期間・有期雇用労働者や管理職も働きがいをもって働ける職場づくり実現に向けての労働組合への期待も高まるといえる。

吉川 政信j.union株式会社 常務取締役

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