2019.09.01
【リーダーシップ】言葉が組織風土をつくる

最近の日本社会は何かおもしろみに欠ける気がします。「おもしろい=面白い」とは、「目の前がぱっと明るくなるさま」が語源で、気分が明るくなる、前向きな気持ちになる、などの意味があります。単純に「楽しい」と違うのは、人の興味を引いたうえで前向きになれる楽しさがあること。したがって「ワクワクする=期待に胸が膨らむ」と親和性が高いわけです。いったい、どんな時に人は「おもしろさ」を感じるんだろう? 「明るく楽しく元気よく」を標榜するj.unionだからこそ、本稿では「おもしろさ」を探求してみようと思います。

<質問> 「あなたが最近おもしろかった出来事は?」

この問いに対して「最近おもしろかった」エピソードを1つ2つすぐに語れる方は上級者です。おそらく関西圏出身の方か、落語研究会で腕を磨いたような方なのではないでしょうか。私は静岡出身かつ関東在住で、落研に所属したこともないですが、かつて5年間ほど大阪で転勤生活をしたことがあります。当時地元出身の同僚や友人知人がたくさんできましたが、やはり常に「小ネタ」を持っている人が多いです。飲み屋で必ずウケる「鉄板ネタ」。仕事で初対面の相手に使う、自己紹介も含めた「アイスブレイク・ネタ」。愚痴を言っても話にオチをつけることで笑いに変える「スゴ技ネタ」。一言でいえばユーモアがある(=おもろい)ということでしょうが、そこにはしっかり計算された行動科学があったのです。

■笑いの効用

就活の学生の都市伝説に「面接官を笑わせたら必ず合格する」というものがあります。定かな検証データはありませんが、私も採用面接官としての経験から合格率は高いと思います。営業経験からすると、お客様の笑顔が増えれば商談成功率は高いですし、会議でも笑いや笑顔が増えると「合意に至りやすい」、「決定事項の実効性が高まる」ということがあります。読者のみなさまにも同様の経験があるのではないでしょうか。年間130日ほどの私自身の講師経験でいうと、「勉強になりました」というコメントより「おもしろかったです。楽しかったです。」というコメントをいただいた時の方が確実にアンケート結果も高評価なのです。正確なデータを収集し、論理的に語り、説得力のある話し方をするだけよりも、おもしろく聞いていただいた方がより深いレベルで理解・納得していただけるのです。
弊社創業者で名誉会長の西尾が「笑いのあるセミナーは必ずリピートされる」という考えで後進を育成したのには合理性があったのです。

■なぜ、いま職場にも社会にも「おもしろさ」が足りないのか

先日ある金融系の組合研修でのこと、参加者に職場の様子を語っていただいたところ、「業務上必要性のない話題は上司から咎められる」というものがありました。そのような会社や職場ばかりではないでしょうが、最近では「働き方改革」の名のもと時間的制約から業務過密感が高まり、必要最低限のコミュニケーションに陥っていることはないでしょうか。そのように時間的・気持ち的に余裕のない環境では、本音で語る対話が生まれず、「おもしろい仕事」になりにくい気がします。
マネジメントもコンプライアンス重視の観点から「〇〇はするな」、「△△は稟議決裁を受けてからにしろ」というようなルール重視のものが増える傾向にありますが、これでは精神的にブレーキがかかって挑戦意欲(ワクワク感)も減退します。さらに最悪なリーダーのメッセージは「新しいことに挑戦しろ。だけど失敗はするな。」です。これでは「失敗しないこと」を優先するあまり、萎縮してしまいイノベーションは生まれないでしょう。
だからこそリーダーには「任せるからやってみてください」(責任は私がとる)とか「一緒にやってみよう」という度量が不可欠です。失敗談でさえおもしろく語れる余裕があるからこそ、挑戦への意欲が湧いてくるものなのです。

■「おもしろい仕事」には「思い入れ」がある

少々理屈っぽいですが、「楽しい仕事」と「おもしろい仕事」は似て非なるものだと思います。どんな仕事にも難しさや苦労があり、社内外に対して理不尽さを感じることもあるでしょう。しかし、その仕事に意味や価値を見出せるか?自分自身がその目的に思い入れがあるか?「思い入れ」があるからこそ、どんな苦労があっても「おもしろい仕事」になってくる。たとえ失敗しても得られる教訓があるのではないでしょうか。
みなさんがリーダーの立場であるなら、メンバーに「思い入れ」を持たせられているでしょうか?
組合役員の立場なら、職場委員、代議員、組合員に「思い入れ」を持たせられているでしょうか?
リーダーの言葉には、人を前向きな気持ちにさせる力が求められています。

大川 守j.union株式会社 取締役

「仕事を通して心も豊かに」をモットーに
組合活動を応援しています。

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