2019.12.01
【組織運営】組織を動かす(動く)やり方とは

人は、組織や誰かを説こうとする時、あるいは興味を持ってもらおうとする時、多様なアプローチの仕方を試みます。
組合における組織運営の場面でも、さまざまなアプローチの仕方があると思いますが、私は次の三つの手法に分類しています。組織や人を動かす際のヒントにつながれば幸いです。

一、 利害(メリット・デメリット)で動かす

文字通り「利」と「害」を相手に伝えて動かす手法です。
類似の表現で言えば、「メリット・デメリット」「損得勘定」「アメとムチ」など、相手にとってプラスになる点を強調したり、相手のマイナスになる点を強調したりして、賛同を得るやり方です。
このやり方の場合、人が得と感じてくれれば(あるいは危機感を感じれば)、賛同し理解や協力をしてくれるため、共感を促しやすい手法とも言えます。そのため、大衆運動において用いられることが多いようです。一方で、この手法は損得で動くため、ポピュリズム(大衆迎合主義)に陥りやすく、耳に優しい政策ばかり説き、痛みや苦労が伴う本質的な課題解決策が取れない場合があります。また多数の利益が優先され少数の損や声が葬られるなどの問題が生じてしまう懸念もあります。

二、 理(理論・理屈)で動かす

論理的・原則論的に正しいことや、合理的な手順・手法・ルール、科学的・実験的に正当なプロセスを説き、それに基づき人を動かそうとする手法です。
例えば、PDCAに代表されるように、仮説や研究結果に基づき、実態を調査・分析して、計画を立案した上で、実行し、その効果を評価して、改善するというやり方で動かす方法です。
理屈としては正しく、筋が通っている内容、効果が見込めるエビデンスなどで説得し、納得して動かそうというものです。
ここ数年の組織運営では、このやり方が増えてきた気がします。
しかし、多くの物事に100%という絶対的な理がない以上、理論には別の理論、あるいは人の感情や気持ち(精神論)で返されてしまい、できない理由、やりたくない理由といった、感情面の課題をクリアしなければなりません。
また、ごく一部の賢い人たちだけで全てを決めてしまって大衆に落としこむなど、一部のエリートだけで組織を動かすことになりかねない危険性も秘めています。

三、 理念(志)で動かす

古くから用いられているやり方が、志や情熱(パッション)、理念で説く手法です。経営理念、経営哲学、組織綱領、ミッション・ビジョン・バリューなど、組織が何を大切にして、何のために、どこに向かうのかを、明確にして説くやり方です。
昔から優れた組織のリーダーは、これを自然に行っているように思います。そして今、真に求められているリーダーも、この理念で組織を動かすことのできるリーダーであると私は考えます。
その理念に共感・共鳴し、仲間に『ぜひ、一緒にやらせてほしい』 『必ず私たちの手で実現させてみせる』などという情熱を抱かせることができればものすごい力が発揮され、その結束は簡単に崩れることがありません。
ただし、人を動かす方法として最も難しいのが、この理念で動かすことかもしれません。単なるきれいな言葉だけの理念では、人はそう簡単には動きません。むしろ利害や理を説く方が、分かりやすい気がします。
そもそも、組織やリーダーが理念(思い)で人を「動かそう」と思っているようでは、人は動きません。その組織やリーダーたちが、心の底から『やり遂げる!』とか『必ず実現してみせる』という情熱を仲間に伝播できるほどのものでなければ、人は自ら動きません。周りの人が自ら率先して動く(自燃式・自発自動式)ようになってこそ、力が発揮されるのです。

■理念を実現するために、「理」と「利害」を説く
さらに思いだけで、中身や具体的な手段・方法、理論や利害を全く考えていないようでは、絵に描いた餅になってしまい、リーダーだけならまだしも、組織全体がただ夢だけを語るだけであれば、いずれ情熱も冷めてしまいます。
従って、良きリーダーと組織は、理念(思い)を語るだけでなく、その実現のための、理論や利害も説くことがより実践的であり、人が動くことにつながるものと私は考えます。
われわれも、もう一度、このことを認識して、理念から今一度、始める必要があるのではないでしょうか。
何かのヒントとなれば幸いです。

小野 晋j.union株式会社 代表取締役社長

息子の影響でハマってしまった…。
世界で闘うBABYMETALを密かに応援中です。

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