j.union株式会社

労働組合の活動を
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2019.12.23
【職場自治】活動が変わる瞬間に遭遇して

以前に職場を支配する「空気」の正体について言及しましたが(以前の記事はこちら)、先日ある組合の職場自治プロジェクトの会議をしている時に、活動の「空気」が変わる瞬間に遭遇したのでそのお話しをしたいと思います。

■取り組みの内容は極めてオーソドックスな内容
その組合は創業80年を誇り、日本を代表するような大手企業の企業内組合ですが、とある支部の「職場自治」活動がほぼできなくなっており、今一度、機能させるためのプロジェクトです。
どういったプロジェクトかというと、「職場の意見を聞く」⇒「職場の課長クラスと職場懇談会を実施」⇒「組合員にフィードバックする」この流れをほとんどの組合役員ができていないため、この活動を機能させるべく相談を受け、弊社が支援するに至ったというお仕事です。この活動は、組合がその創設から現在に至るまでに繰り返してきた、職場の改善活動そのものとも言えます。

■構造を紐解くことからはじめる
では、なぜ何十年も組合が存在しているのにも関わらず、組合活動そのものの活動が停滞し、今回のような相談がきたのでしょうか? これは本当に深刻な課題であり、これからの組合にとって大事なことかもしれませんが、一言で言うと「当たり前にやるべき活動だと錯覚し、このままでもなんとかなるんじゃないか? といった「空気」が支部全体に醸成されていたから」ということを私は言いたいと思います。その構造は、一体どうなっているのかというと、上述した今までやっていた活動の流れ、①「職場の意見を聞く」⇒②「職場の部長クラスと職場懇談会を実施」⇒③「組合員にフィードバックする」の①~③の活動の事前当日事後どのようなことをやったか? というやったことを詳細に出し合うことで明らかにしなければ、知ることができないというものです。

並行して組合役員には、①~③についての研修を受けていただきつつ実践をしながら、まずは実行した内容をまとめ、整理し、議論します。その後、組合役員と弊社で実行すると良い方法を模索し、決定し、1冊のガイドブックにまとめていくという内容のプロジェクトをやっています。

■ワークショップの結果、分かったこと
①~③の方法を組合役員と弊社で、ひたすら意見を出し合い、まとめていっているのですが、
ワークショップ3回目の実施のその時でした。参加者の組合役員さんがこう言ったんです。
全体に対して「委員長! ちょっといいですか? 今まで私たちがやってきたことと、どうも違う気がするんです。」「私たちは、労使懇談会をする時は組合員全員で臨んでいたのですが、それって違うんですか?」
周りからは「それは違う」「労使懇談会の参加者は職場会で意見を聞き、内容をまとめた評議員だけだ」という反応でした。また、「そもそも、労使懇談会を行う前に、もう一度組合員に確認するもんだ! そんなことも知らなかったのか?」といった内容でした(会場もなんだか自分たちの活動とも違うことも多くザワザワです)。

■これを受けて、ワークショップではどうしたか?
ここで言えることは、みなさまもお分かりだと思いますが、活動をそれぞれにやり方を知っているものだと勘違いし、バラバラの認識で当たり前にやっていたということです。
この時、委員長の判断は素晴らしいものでした。委員長は即座に書記長と後ろで見学していた執行部を別室に呼び出し、「これまでのやり方」と「これからのやり方」をまとめ上げ、ワークショップの終盤に現場の役員にレクチャーをして、この時に起きた混乱を見事に収束させたのでした。
その時に示した方法が以下の内容です。
 
(今まで)         ⇒  (これから)
                   ⓪前提に必ず職場の意見を聞くこと(職場会)
 ①書記長局から実施依頼       ①テーマの選定
 ②開催日の設定           ②テーマを深堀すること
 ③出席者の決定           ③組合員に確認すること
 ④質問内容を調査          ④開催日を決定
 ⑤質問内容を確認          ⑤出席者の決定(組合員参加10人未満)
 ⑥質問内容を課長へ連絡       ⑥課長へ議題を事前連絡、出席者へも内容を共有
 ⑦当日(質疑回答)         ⑦当日はテーマに応じて議論し、
                    議論結果と回答をまとめる
 ⑧議事録作成            ⑧議論結果、回答を会社からフィードバックを受ける

■何十年も続けてきた活動の「空気」化が解けた
参加者は気づいていないと思いますが、私は活動の「空気」が変わった瞬間だと感じました。
以前、空気の支配から解放されるには? というテーマで記事を投稿した際に、山本七平さんは、空気の支配を解くには水を差すことであり、そのメカニズムを紐解くことだ、と主張されていましたが、まさに今回はそれを実践したことで起きた変化だと思っています。今までやっていた方法を紐解くことをひたすら行った結果と、その違和感に水を差す役員が現れ、時のリーダーが変化を受容し、意思決定しすることで活動が変わったケースだったと考えました。
その結果、今まで何十年も同じように、当たり前に思い活動していたことが、なんの違和感もなく行っていた活動が、今回のたった1回ワークショップで変えることできた瞬間だと言えるでしょう。
これからが勝負という状況ですが、この組合の役員はがんばって実践をしてきてくれることでしょう。

■当たり前の活動の「空気」化を解くことができれば活動を変えられる
組合活動は、下りのエスカレーターとも言われています。
何もしなければ停滞します。組合員も管理職もその存在を忘れ、知らないうちに気づいたら活動が風化しています。昔は、精力的にやっていたけども、今はなぜか全然できていない、ということ現象はかなりの組合に当てはまるのではないかと思います。それでも私はどんな環境の組合であっても今回のケースのように今の状態に疑問を持ち、水を差してみて、メカニズムや構想を紐解いてみて、みんなで議論し、リーダーが決断をする、ということができれば、活動を変えることができるのではないか? と思っています。
私たちの仕事も、このような良き変化の一助となりたいと思います。

横田 直也j.union株式会社 経営企画本部

最近はマンガ「キングダム」にドハマりしております。
好きな言葉は、孫子の兵法から…「将とは智・信・仁・勇・巌なり」

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