2020.02.02
これからの労働界に求められるプラットフォーム発想

■ プラットフォームとは?
プラットフォームとは「システムやサービスの土台や基盤となる環境」と一般的に定義されています。昨今では「GAFA」に代表されるオンラインプラットフォームを連想しますが、プラットフォームは、あくまでも土台や基盤となる環境を意味するもので、必ずしもオンラインに限定したものではありません。
また、プラットフォームは、誰の、もしくは何を対象とし、何を成し遂げるためのものであるのかが重要であり、プラットフォームそのものは、あくまでも手段にすぎません。
では、労働界にとって必要なプラットフォームとは何でしょうか。それは、「同じ志や目的を持った人と人、組織と組織がつながり価値を生み出す土台や基盤となる環境」であり、まさに労働運動を展開するために必要不可欠な手段の一つといえるのではないでしょうか。本稿では、これからの労働界にとって必要なプラットフォームについて考えてみます。

■ これからのプラットフォーム
労働界のプラットフォームは、参加者である労働者にとって必要不可欠なものとして、環境変化に適応することが求められます。今ある労働界のプラットフォームは、その役割を担えているのでしょうか。
過去の労働界においては、産業別にベアを要求し、情報をオープンにしながら賃上げをリードすることにより物価上昇や経済成長を牽引する立場として社会に貢献することで、「産業別プラットフォーム」が機能していました。
現代における、労働界とプラットフォームに関連する話題といえば、プラットフォームワーカーが安心して働ける制度の整備を目指すウーバーイーツに代表されるユニオンの誕生などではないでしょうか。
一方で、将来価値が見込めるプラットフォームも生まれています。2019年4月に発足した「ヘルスケア産業プラットフォーム」です。産業別に分断していた医薬や化粧品を担う企業別労組が、同じプラットフォームに集結しました。事業と雇用の維持改善を目的としており、未来の労働価値を生み出す源泉になるとして期待されています。

■ 「働く価値を創造する組合活動」へアップデート
私たちは、これからの労働界において、プラットフォーム発想に立ってどのような価値を生み出せるのでしょうか。労働界が「働くことを軸とした安心社会」を目的とするならば、労働組合は「働く価値を創造する組合活動」を実現するために、プラットフォームをどのように活かせるのか、ここに焦点を当て知恵を絞ることが重要となります。
2025年には後期高齢者が2千万人を突破する時代、グローバル競争下で事業体を存続するために資本移動がますます活発になる時代、育児・介護のダブルケアと仕事の両立が大きな課題として顕在化する時代、これらの環境変化予測により柔軟な発想で人にしかできない「働く意味」を模索する時代がやってきます。
これからの「働く」を真に探究し発信し続けることは、社会における労働組合の重要な役割の一つとなります。そのためには待ったなしで、それぞれの労働組合が、労使関係や組織力に応じて、組合活動をアップデートする必要があります。その手段としてプラットフォームの整備は、喫緊の課題となるのではないでしょうか。

■ プラットフォーム構想3つの視点
では、アップデートを実現するためにプラットフォームは、どのような役割を担えばよいのでしょうか。産業横断的に労働組合がつながることを前提として、3つのポイントに整理してみました。

【1】働く価値を創造し続けるための「知恵」を生み出すプラットフォーム
プラットフォーム参加者によって、以下の活動における現場知・ノウハウの共有と、参加者による最新の事例や理論がアップデートされている。
・職場リーダーの主体性を高めるチームづくりのあり方
・職場リーダー主導による職場自治活動を通じた働きがい向上
・創造的労使関係を構築するための活動プロセス
・現場意見を起点とした労組による経営提案の進め方 など

【2】既存活動の「デジタル化」により、活動の効果を高めるためのプラットフォーム
・アンケート調査結果の集計・集約処理をデジタル化し、より多くの分析時間を捻出する
・共通の活動課題をもった労組とつながり、活動プロセスをベンチマークする
・労組会議での組合員発言の定性データを分析し傾向をつかみ対策を講じる など

【3】人と人がつながり、働く価値を生み出す「場」としてのプラットフォーム
・産業横断的に組合員がつながり、オープンイノベーションを実現する場
・組合活動を指標別にお互いが評価し合い、表彰する場 など

プラットフォーム発想に立って、次世代となる2030年代の組合活動のあり方を構想することをお薦めします。皆様の活動の一助になれば幸いです。

淺野 淳j.union株式会社 専務取締役

労働組合の集団的フォロワーシップ発揮を
応援し続けて20年!!

« 前回の記事 次回の記事 »