2020.08.23
【組織開発】非接触型の新時代だからこそ、組合員に「寄り添う」

8月中旬を過ぎても新型コロナウイルス感染拡大の勢いが止まりません。人命や健康に関わる問題だけに企業活動も個人の生活面も慎重にならざるを得ないのは当然のことです。その一方で経済活動の停滞についても危機的な状況が差し迫り、個人事業主や中小・零細企業をはじめ資金余力が脆弱かつ本業の収益に打撃を受けている経営者は何らかの決断を迫られている状況です。
「労働組合の組織リーダーとして、いま何を考え、何をするべきなのか?」 私たちが4月から実施してきた緊急アンケートとWithコロナワークショップにおける参加者のみなさまのご意見から見えてきた今後の指針について述べたいと思います。

会社との意思疎通はできていても、組合員との意思疎通には大きな課題が

4月中旬から同月末にかけてご協力いただいた緊急アンケート(有効回答数192労組)によると、「新型コロナウイルス感染拡大に関して労使で情報共有できている」(88.4%)、「対策に向けて労使で行動できている」(73.1%)、「感染拡大の影響下においても、労使で解決すべき問題が整理できている」(55.2%)となっています。調査時期が4月だったことを考慮すると、労使間でしっかり対策が話し合われ行動化できている傾向が確認できます。ワークショップ参加者の声からも在宅勤務をはじめ、時差出勤やシフト調整など組合員の働き方そのものを変化させる取り組みが目立ちました。業種によっては出勤状況を変えずに感染拡大予防策を徹底するなど、会社との協力のもと事業を継続しているケースも多かったです。緊急的な経営対策活動という意味では、多くの労働組合は日頃の良好な労使関係を土台に情報共有や対策をできていたといえるでしょう。
同調査で「(感染拡大で)阻害されている活動」について上位3つを選択していただいた結果は「レク・イベント活動」、「組合内部会議」、「職場の問題解決」、「人材育成目的の研修」が上位に挙げられました。やはり「3密」を避けるために「人が集う」ことを前提とした活動が行えなかった傾向が顕著となっています。また着目すべきデータとして、「職場や組合員の実態把握を行っている」(75.0%)という結果があります。さらに組合員数の多い組織ほど実態把握を行っている(91.1%、3000人超)に対して組合員数の少ない組織ほど低い値(67.4%、500人以下)となっています。定量データとしては良好な数値とも思えますが、ワークショップでは組合員からの情報収集に関しては質的な課題も多数指摘されていました。それは一言で表現すれば「表層的な情報提供や収集になってしまいがち」だということであり、本音の意見を伝え合うことまではできていないことを意味しています。

新型ウイルス感染拡大に関する科学的知見と私たちの取るべき行動

あらゆる感染症の予防対策として、「まず、自分が感染しないこと。そして、他者に感染させないこと。」という原則があります。前者が手洗いや手指消毒、目鼻や顔に触れないなどの自衛対策です。後者はマスク着用や咳エチケット、握手など身体的接触の回避などの感染拡大予防対策です。さらに濃厚接触者の定義は次の3つの条件をすべて満たすことであり、感染リスクが高い行動だと言われています。 ①マスク非着用 ②1.0m以内の距離 ③15分以上の会話・接触。つまりマスクを着用さえすれば近距離で15分以上会話しても濃厚接触に該当せず、感染リスクも極めて低いという研究成果も得られている訳です(国立感染症研究所4/27発表)。反対に飲酒を伴う会食は感染拡大の危険性が高いと改めて指摘されているのです。未だに全容解明に至っていない新型コロナウイルスですが、4月中旬までは「とにかく3密を避けること」が叫ばれていたのに対し、感染経路の解明が進むにつれてリスクの高い行動と低い行動がこのように明確化されてきているのです。

緊急対策から新時代のニューノーマルな活動へのアップデートを

労働組合としてのウイルス感染拡大リスクの回避は大事ですし、これを機に伝統的な慣習を一から見直しせざるを得ないことと思います。しかし、先に指摘した「組合員との接点」は何らかの形で維持あるいは見直しをする機会にしてほしいと考えます。そもそも、新型コロナウイルス感染拡大前は「組合員としっかり向き合えていたのか?」、「困りごとや悩みに向き合うことができていたのか?」そのような視点で活動を問い直し、直接的な対話でもオンライン通話でも「一人ひとりの組合員に寄り添う姿勢」こそが大切なのだと確信しています。コロナ禍においては、集団的な活動の停滞を憂慮するのではなく、個別の対話を重視した活動へアップデートする契機にしてほしいと願っています。

大川 守j.union株式会社 取締役

「仕事を通して心も豊かに」をモットーに
組合活動を応援しています。

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