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2021.01.10
多様な社員の個性を活かす「タレントマネジメント」

会社とは会う社と書きます。社員同士が一堂に会して一緒に働く、それが会社という言葉の元々の意味といったところでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして直接会わずに働くテレワークが一挙に普及し、会社で働くという本来の意味が問われています。

一堂に会して一緒に働くという要素がそぎ落とされたこれからの時代においては、会社、チームで働くという本当の価値は、自分と違う価値観、違う発想を持った他人とコラボレーションすることによって、個人では生み出せない新たな価値を創造することにあるのではないでしょうか。


今日のビジネスシーンでは、コロナ禍をはじめとした目まぐるしい環境変化への対応が必要とされています。過去の実績の延長を目指していれば済んでいたかつての考え方を変えられない企業は、いずれ立ち行かなくなってしまう時代です。過去の延長線上にない価値を生み出し続けるには、従来とは異なる価値観も尊重するダイバーシティ、それを受け入れ活躍できる環境をつくるインクルージョンといった考え方は欠かせません。人材育成、人事管理においても多様な働き方、多様な個性を持つ社員をいかに把握して、適正に配置し、その個性を開発していくことができるかが重要なのです。


そのような背景から、人材マネジメントの分野では「タレントマネジメント」という考え方が注目されています。タレントマネジメントとは、従業員一人一人が持つタレント(能力・資質・才能)やスキル、経験値などの情報を人事管理の一部として一元管理することによって、組織横断的に戦略的な人事配置や人材開発を行うことをいいます。


従来のHRM(ヒューマンリソースマネジメント:人的資源管理)が社員の過去情報を蓄積して社員全体を管理していく集団的人事管理であったのに対し、タレントマネジメントは、より一人一人に寄り添い、その多様な個性や資質をいかにして最大限効果的にチームの未来に活かすかを重視する個別的人事管理の考え方です。


タレントマネジメントにおいて着目するタレントは、ある特定の能力・才能・資質を有する人材で、いわゆる「ハイパフォーマー」「リーダー候補」といった企業が考える優秀な人材のみに絞られることはありません。今までは必要なタレントとしては捉えておらず、見過ごされてきた人材も、環境変化の大きなこれからの時代では、予想もしていなかった場面で活躍できることがあります。そんな時のために一人一人のタレントを丁寧に分析して管理していくのがタレントマネジメントという考え方です。


自社の全ての社員の状況を細かく把握していくことは簡単なことではありませんが、多様なタレントを常に把握しておき、環境の変化にいち早く対応して必要な場面で適材適所の人材配置や抜擢ができる人事マネジメント手法を持ち合わせていれば、チームの潜在的な可能性は大きく広がることとなります。


かつての大量生産、大量消費というビジネスモデルは、少なくとも国内では通用しなくなりました。従来からの商品やサービスをやみくもに生産し、高品質を追い求めさえすれば事業を拡大できるという時代ではありません。今まで経験豊富な経営層や人事のベテランが策定してきた経営施策、人事施策は、企業が蓄積してきた過去の実績経験を活かす有効な手段でしたが、予想もできない新しい環境変化には十分に対応できません。これからは若年層の柔軟な考え方や、最新のニーズ変化を捉えている現場の声、全くの異業種からビジネスのヒントを丁寧に拾い上げることが、より一層必要になってくるのです。


多様な社員の才能を最大限活かして、環境変化に柔軟に対応し、高いパフォーマンスを発揮できる強い組織となるために、自社の従業員一人一人に寄り添い、その能力を最大化させるタレントマネジメントはどの組織においても必要不可欠になるでしょう。しかし、よくよく考えるとこのタレントマネジメントという考え方は、企業人事が重視するまでもなく組合が着目し、伸ばしていく領域だったのではないでしょうか。組合活動はともすると組合員の潜在的能力とその環境とが最適化されていないケースにおいて、個別の対応を模索することなく、従来の集団的労使関係の中で最大公約数的に課題を抽象化し、表面的な解決へと進む傾向があります。結果として個別の組合員を不活性なままで塩漬けにしてしまうのです。

これからの労働組合は個別的労使関係を中心とした活動へ転換し組合員一人一人が抱え持つ、まだ光の当たっていない価値や能力を掘り起こして顕在化させ、多様性に対応していくことが急務と言えるでしょう。

佐々木 務j.union株式会社 管理本部

週末の家族サービス、子ども相手にいろいろ遊んでいるうちに
自分の方がハマっている事が多々あります。
もはや「サービス」ではなく「趣味」かも知れません。

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