j.union株式会社

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2021.05.02
仕事に8時間を、休息に8時間を、好きなことに8時間を


5月1日はメーデーでした。近年では連休前半の休日に集会が開催されたり、昨年からは感染予防対策でオンライン化するなど労働者が安全に、かつ参加しやすいように工夫されているようです。

本稿の配信日が翌日ということもあり今回はメーデーの歴史を少しふり返ります。1890年5月1日、主要国で一斉に「8時間労働」を訴えたデモが行われたことが起源だとされています。さらに労働運動の歴史を遡ります。18世紀後半のイギリスでは、産業革命期の工場労働者たちの劣悪な労働環境がありました。当時は1日10~16時間の労働時間で休日は週1日というような状況です。法的にも「団結禁止法」が制定されるなど資本家による労働者支配ともいえるような時代です。対抗手段のない労働者は不満を抱え、ラッダイト運動(機械破壊運動)が広がるなど労使対立は階級闘争でもあったわけです。1810年、労働者階層出身のロバート・オーウェンは1日10時間労働を主張し自ら経営する工場で実践すると、生産性が高まり「労務管理手法」の基礎を築いていきます。さらに1817年には1日8時間を新たな目標にし、その時のスローガンが「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」だったのです。今から200年以上前のことですが、各国の法整備は遅れイギリスでは1847年にようやく10時間労働が実現。フランスでは翌年に12時間労働が実現するというような実態でした。その後40年近くを経て1886年はアメリカ全土で8時間労働制要求のストが行われ、4年後の5月1日にアメリカの呼びかけで主要国一斉の8時間労働要求デモが行われたわけです。日本においても「蟹工船」や「あゝ野麦峠」にあるよう過酷な労働条件で労働者が苦労していた時代も長く、終戦後の1947年労働基準法の施行で8時間労働が法制化された歴史があります。


◆支配の経営からエンゲージメントによる経営へ

労働組合の先人の苦労の甲斐があり1日8時間労働制が定着し、現代では週40時間制も法整備されたため「労働時間=拘束時間」という意味では昔と比べて圧倒的に短くなりました。しかしながら、読者の皆様の各企業でも過密労働や過度なストレスなど、組合員から見た困りごとや悩み、不安は尽きないのではないでしょうか。人は労働を強制され、長時間拘束されるという前時代的なマネジメントから解放されても、前向きになれない労働や心理的負荷が高く苦労が多いだけの労働では価値を生みにくいということだからではないでしょうか。だからこそ、経営者団体もエンゲージメントの重要性を積極的に発信するようになっており、これは労働組合としても労使協力のもと追求するべきテーマだと考えています。


◆8:8:8は永遠の黄金比なのか?

WLB(ワーク・ライフ・バランス)やQOL(生活の質)など、労働組合でも重視する価値観というものがあります。たしかに労働時間を抑制することはそれらの実現のために重要であることは当然です。他方で仕事を通して達成感・充実感を得ながら、イキイキと働き日々の生活を充実したものにできるかは別の要素もあるのではないかと筆者は感じています。

では現代の知識労働者に必要な要素とは何なのでしょうか。それは「学び(自己啓発)」という重要な要素だと考えます。テクノロジーやマーケットニーズ、人の価値観さえ変化が早い今日では常に学ぶことや感性を磨くことが必要不可欠です。はたして「仕事・休息・やりたいこと」の各8時間(3等分)のいったいどこに「学び」を組み入れるのでしょうか。


◆企業が提供する教育と、それを補完する自己啓発

仕事に活かせる「学び」に関しては、産業・職種・役割等によって無尽蔵の領域があることでしょう。企業にとって必要不可欠な知識や技能に関しては企業研修の場が用意されていることが一般的です。ただし、新たな価値を生み出すような創造的な仕事に取り組む場合、原則は自助努力・自己啓発に負う部分が増えるのも現実です。その手段も本を読む、さまざまな分野の人と交流する、何らかの体験を通して感性を磨くなど唯一の方法はありません。だからこそ、自分の好きな分野・得意な領域で自らのキヤリアをマネジメントしていくことが大切なのだと考えます。仕事を通して学べること、プライベートで学べること、もはやボーダーレスな時間の使い方を現代人は求められているのでしょう。

大川 守j.union株式会社 取締役

今年からのプロフェッショナル宣言は「働くことを歓びに変える」。
すべての働く人々の幸せに貢献したい思いです。

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