
組合活動の原点は職場にあり
新型コロナウイルスの感染拡大が未だ収束の兆しを見せない中、多くの組合さまでは新たな期を迎え、活動が停滞した一年からの転換を図られていらっしゃることと思います。
私たちを取り巻く環境がどのように変わろうとも、組合活動の原点が職場であることに変わりはありません。環境変化の激しいときこそ、組合員と真摯に向き合い、その声に耳を傾け、共に難局を乗り越えていくために、職場が一体となるよう組合員を牽引していくことが組合役員には求められます。
職場を牽引するリーダーを育てる
しかし、多くの組合さまでは、人を集めて行う活動が大きく制限され、人材育成機会を提供することも難しい状況にあります。組合員を取り巻く環境や個々の働き方が大きく変わる中で、抱える課題を正しく把握し、解決に向けた取り組みを展開していく役員の現場対応力を高めていくことが、環境変化に柔軟に対応できる強い組織をつくることにつながると考えます。
そこで、労働組合が行う人材育成における考え方をご紹介します。
1.組織の明確なビジョンがある
まず重要なことは、私たちが描く「将来のありたい姿」が明確になっていること、そして、自信を持って語ることのできる状態になっているということです。あらゆる内外変化に左右されない組織の強みを活かした確固たるビジョンが示されており、共通言語として広く語られ、皆がそのビジョンに憧れている状態になっていなければ、力を結集しベクトルを合わせて前へ進んでいくことはできません。
2.役員(組合員)のありたい姿を示せている
ビジョンの実現は執行部だけでなし得るものではありません。組織に属するすべての人がそれぞれの役割を認識し、その実現のために行動できる状態になっていることが重要です。そのためには、ビジョンに基づく「理想の人材像」が示されていなければなりません。ビジョン実現に向けた取り組みの先に「どのような人材になっていて欲しいのか」というメッセージが発信され、腹落ちするまで根気よく語り続けることが大切です。
3.求められる役割と必要な能力が階層別に整理されている
組合活動は多岐にわたるため、活動を細分化し階層ごとの適正な役割を整理する必要があります。そして、その役割を遂行するために必要な能力が取り組みに紐づいて明示されていることが重要です。すべての役割はビジョン実現のために割り振られており、役割を担う上で必要な能力を身につけることが理想の人材にもつながります。
4.能力伸長の場が用意され、必要な支援が行われている
集合研修の場はもちろん重要ですが、人を育てる上で最も有効なことは現場での実践です。担う役割に基づく取り組みの必要性を共通理解とし、必要な権限を与えて後は任せましょう。効果を発揮するために必要なことが何なのかを考えさせ、能力伸長の必要性に対する気づきを促しながら教育機会(研修等)を設けることで、学習効果は何倍にもなります。そして、定期的に行動を振り返り、何をすべきかを話し合う場が人を成長させます。
「なに」をやるかの前に「なぜ」やるか
弊社でも役員育成に関わるさまざまな研修プログラムをご提供させていただいていますが、皆さまの活動をご支援させていただく際に最も大事にしていることは、「何を行うのか」よりも「なぜ行うのか」という点です。
コロナ禍において教育活動の目的も多様化している中で、あらためて何のための教育機会なのかを明確化し、その目的を達成するための人材育成を展開していくことの必要性を感じています。
未来を担う組合役員の育成に貢献できるよう、微力ではございますがこれからご支援し続けてまいります。

渡邊 祐介j.union株式会社 西日本事業部
「できるかできないかではない、やるかやらないかだ!」
この言葉が私の原点であり、行動指針です。