j.union株式会社

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2021.10.17
今、試される組合リーダーによる「合理的配慮」

多様な働き方に応えるための多様な制度

従業員のニーズに合わせた多様な働き方を選択できる社会の実現に向けて2019年4月1日に「働き方改革法案」が施行されました。また、現在のコロナ禍という世界的な環境変化のなかで、組合リーダーの皆さんも、組合員の多様化する働き方のニーズに応えながら、将来への展望を持ち意欲・能力を存分に発揮できる各種制度づくり、限られた労働力で生産性を向上させるための職場環境づくりに向けて日々奮闘されていると思います。

ここ最近、組合役員の皆さんと面会する際にも「最近の働き方に関する制度のトレンド」や「働き方に関する各種制度の内容」がよく聞かれます。おそらく、今後も続く激しい変化の中で企業間競争に勝ち残るために経営者からさまざまな制度提案があるのだと伺えます。

そんな中、経営からの制度提案において組合員の声をもとに組合としての見解をまとめ協議するにもテレワークや在宅勤務が進み、従来のように職場の実態を把握し、組合員の声を反映することが困難になってきています。一人一人の組合員のニーズに応えていくためには、多くの制度やルールを選択肢として用意することが得策と考えられている気もします。

制度やルールで組合員の悩みは解消できるのか?

一方で、最近よく聞くのが、組合員の悩みや相談に対して、職場の組合役員や管理職が、今ある制度やルールが解決手段と考えてしまい、相談内容に対応できる制度やルールがなければ、今は対応が難しいと返答をしてしまうケースがあると聞きます。
これでは、制度やルールがないことが課題になってしまい、組合員の悩みを解消するという目的から反れている気がします。

確かにルールや制度を守ることは大切でありコンプライアンスの観点においても重視すべき事項は多分にあります。

また、ダイバーシティ推進の観点からも、一人一人の異なった価値観や特性、考え方を活かし合うといった状態を目指すのであれば、価値観や考え方は常に変化するものであり、今の職場の実態やニーズに合わせてルールや制度も変化させなければなりません。しかしながら、制度の構築には時間がかかります。

ますます求められる職場での「合理的配慮」

では、この状況下でどのような対応が考えられるでしょうか。それは、労使で決めた目標を理解し、公式な制度やルールにならなくても、目標の達成に向け最適な方法を組合員の知恵やアイデアを参考に、職場の労使で話し合い実行していくことしかありません。自分たちが働きやすくなる、やる気やチームワークに繋がる方法を職場レベルで話し合い実践していくスピード感を身に付けることが今後もますます重要だと感じます。

そのとき、ぜひ職場の組合リーダーに実践していただきたいのが職場での「合理的配慮」です。「合理的配慮」について事例を紹介します。

「ある脳性麻痺で車椅子生活をしていた方が、次のような話をされていました。小学校のとき、野球が好きだった彼は、野球部に入りたいと思いながらも、障がいのため走れないことで周りに迷惑がかかると思い、入部を諦めていました。すると彼の友達がやってきて、入部をすすめ、『君が走れないならオレたちが走るよ』とまで言ってくれたおかげで入部を決心したといいます。入部後に足の不自由な彼がバッターボックスに立ち、ヒットしたらほかのメンバーが彼の代わりに走るというルールも作られました。」

このようにルールがないからできないのではなく、何かできることを考え職場の仲間と行動していくことが大切だと教えてくれます。

この話では、困った仲間のために自分でできることを実践すること以外に、もう一つ伝えたいことがあります。

強者によって作られたルールは絶対ではない

強者によって作られたルールは絶対ではないということです。多数派や強者の特徴を持たない人は共同体には入れない、ということではなく、ルールの方を変えなければならない。この考え方は、ダイバーシティを推進していく上でも重要です。
今後も続く環境変化おいて、求められる技術やさまざまな働き方がでてくると思います。その中でも一人一人がイキイキと働ける職場づくりのために、職場での「合理的配慮」を忘れないでいただきたいと思います。

吉川 政信j.union株式会社 常務取締役

休日のアウトドアライフで、ワークライフバランスはパーフェクト!(もちろん家族サービスも込みです)

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