j.union株式会社

労働組合の活動を
総合的に支援します。

2021.12.12
ひとりの声をみんなの力に

◆その問題は誰のもの?

みなさんは「フェミニズム」と聞いてどんなイメージを持たれますか?
「男女同権主義」「女性の権利を拡張しようとする思想、運動」...なんとなくとっつきにくいイメージを持たれている方も多いのかなと思います。私もその一人でした。個人的な話で恐縮ですが、私は大学時代にフェミニズムやジェンダー研究に出合ったのですが、学んだ中で今も心に残っている言葉があります。それは「個人的なことは政治的である(The personal is political)」という言葉です。これは1960年代以降のアメリカにおける第二波フェミニズム運動、学生運動におけるスローガンで、個人的な問題とされていることの多くは、社会的な構造や規定によって引き起こされているものである、ということを意味しています。マイノリティの声を当事者だけの個人的な問題とするのではなく、それを引き起こしている社会構造に目を向け、それを変えていこうという動きです。

私はこの価値観に触れたときに、フェミニズムとは女性の問題を扱うものではなく、すべての人にとって生きやすい社会をつくるための動きなのだと感じたことを今もよく覚えています。「マイノリティ」とカテゴライズされるある特定の属性に限った問題ではなく、そこには同じ社会を構成する私たち一人一人も関わっており、それぞれの「生きづらさ」を解消し、一人一人が尊重される豊かな社会をつくるための取り組みなのだと。「女性活躍推進」やジェンダーバランスの取れた組織づくりも、もっと言えば、組合活動が目指すところも同じではないでしょうか。

◆「闘う」から「理解・共感」へ


今回の現場知フォーラムでお話しいただいた都築電気労働組合 鈴木中央執行委員長のお話で印象的だったのは、そのしなやかさで前向きに変化を起こそうとされている姿勢でした。
性別という観点で見ると圧倒的少数派の立場に置かれた職場委員時代のご経験。支部執行委員、中央執行委員を経て委員長という大役を担われる決断をされた際の周囲からの反応...。それぞれは鈴木さん個人の体験かもしれません。ですが、その体験を「個人が感じた違和感」だけにとどめずに、そういった状況をつくりだしている背景に目を向け、目指す状態を実現するための行動に一つ一つ取り組まれ、組織に変革をもたらしていらっしゃいました。

また、異なる視点や意見を否定するのではなく、あくまでも相手の感じ方、捉え方を、違いとしてありのまま受け入れ理解・共感したうえで新たな地平を築こうとされている姿勢が、組織を変えていくことにつながっている点も注目すべきところではないかと思います。

労使協調路線への転換のポイントとして「覚悟を持って〝闘うことをやめる?」ということを挙げられていますが、この回答にすべてが集約されているようにも感じます。

何かを変えよう、変革しようとしたとき、私たちはつい「闘う」ことで、その対象を打ち負かそうとしてしまいがちです。でも本当に何かを変えたいと思ったとき、より実効的なのは否定することではなく、理解し共感を示しつつ、お互いの視点をすり合わせながら一致点を探っていく方法だということも、私たちは学んでいるのだと思います。

ジェンダーバランスの取れた組織づくりやダイバーシティ&インクルージョンが実現された組織づくりにおいて、組合活動がまず果たすべきなのは、こういった「個人の問題」を発露できる場、機会をつくること、また、それを受け止めてもらえる安心感のある組織、環境をつくっていくことなのだと思います。「個人的なこと」をそのままにせず、「みんなの問題」として扱ってもらえる安心感を持ってもらえれば、さまざまな声が集まる場ができるでしょう。こういった声を共有することは、他者への想像力を膨らませることにつながっていくのではないでしょうか。この組織づくりの先に本当に多様で豊かな組織の実現がある...そんなイメージを持ちながら、皆さまの活動を支援してまいりたいと思います。

藤栄 麻理子j.union株式会社 東京支店

休日を中心に細々とヨガを続けています。硬かった体が少し柔らかくなったり、ハッピーな気分でいられることが増えました。

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