j.union株式会社

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2022.02.28
【人材育成】道のりだって面白い

「報われない努力ってあるんだな」
北京五輪の競技後インタビューで、羽生結弦選手がそうコメントしました。

怪我を抱えて何度も体を氷に打ち付けながら、それでもその「一瞬」のために日々を積み重ねてきた。生活の全てを計算し、到達すべき目標のためにトップアスリート達は「まっすぐ」進んでいくのでしょう。報われるまで努力を絶やさなかった偉業と、それでも掴み切れなかった「一瞬」に震える思いがします。

◆直線的な人生と曲線的な人生

さて突然ですが、直線的な考え方と曲線的な考え方、どちらを皆さんは選ぶことが多いですか?
「直線的・曲線的って何??」と遠くから聞こえてくるようです。

イギリスの文化人類学者ティム・インゴルドは「世界は"線"で出来ている」と語ります。ゆえに「人生も線だ」というのです。人生において「直線」とはゴールを定め、そこに到達するために突き進む。「曲線」とはゴールを定めず状況に柔軟に順応する。とても簡単にするとそんなイメージです。深く考えようとすると難しいけれど直感的には理解できる主張です。

多忙な日々では「直線」的な考え方で何事も捉えがちではないでしょうか。目標を設定し、合理的に時間を有効活用していると、着実に進む感覚や行き先が見えるようで、私自身は正直安心感を覚えます。

しかし、「直線」にも弱点があります。彼いわく「直線」はゴールへの到達自体が目的になり、ゴール設定の理由を見落とし惰性で歩んでしまう危険性がある。また目標達成が困難になると、喪失感に立ち止まってしまう。羽生選手の挫折感も直線的な歩みがもたらす感覚と捉えることもできます。
インゴルドはそれゆえに、行きつ戻りつ時に寄り道をする――そこに人生の真の楽しみがある、というのですが・・・。

◆面白いことはすべて道の途中

人生における真の楽しみは人それぞれですが、せっかくなのでインゴルドの発想を柔軟に取り入れてみましょう。

思い描いていたキャリアを歩んでいたはずが、いつの間にか組合活動に参加しているみなさん(!)は、まさに曲線的な歩みの最中です。その組合活動にも、未だ見ぬ景色や体験を知るチャンスがあると思いませんか?

例えばある調査によると、最も社会人の学ぶ時間が少ない国は日本だそうです。ここに組合活動の可能性がありそうです。自ら出向かないような学びの機会を、組合が提供する。あるいは組合活動そのものが、思いもよらない学びになる。「目的のために必要な学び」を提供するのは会社ですが、本人も想定していない可能性を見つける機会を組合活動は提供出来るかもしれません。もっといえば、賃金交渉・労働条件の改善が組合活動の「直線」的な目的だとします。でも、「組合活動に参加したことで人生が豊かになる」のはいかにも「曲線」的ですよね。何だか組合活動の可能性がぐっと広がりませんか?

◆もっと自由に、もっと先に

試合から数日経ち、羽生選手は改めてインタビューで「報われなかった今は今で幸せ」と答えました。彼のように結果を求めなければいけない場面は仕事にも人生にありますが、インゴルドは次のように語ります。

「重要なのは終着点などではない。それは人生も同じだ。面白いことはすべて、道の途中で起こる。あなたがどこにいようと、そこからどこかもっと先に行けるのだから」(同著『ラインズ 線の文化史』)

目標としていた結果に辿り着かなくても、羽生選手の人生がそうであるように組合活動も続いていきます。実直に歩んだその過程が組織の力になったり、目標とは全く関係なく進んでいた小さな歩みが危機を救ったりするかもしれません。組合活動がもっと自由に、もっと先に、もっと面白くなるように、ご支援できることを行きつ戻りつ寄り道しながら、私も探していきたいと思います。

「j.union College(ジェイユニオン カレッジ」は組合役員や組合員の学ぶ機会の提供をを通じて支援します。

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渡邉 ななみj.union株式会社 制作本部

「誰でも気軽に学べる場を組合が提供できないか」と始まったj.union Collegeも5期目。
参加されるみなさまの手で本当にそのような場にしていただき、企画運営担当として嬉しい日々です。
来期もご期待くださいませ。

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