
■理想と現実の差は?
歳を重ねるにつれ、10代の頃なんとなく思い浮かべていた大人像(キャリアや家庭の様子や、身の回りの物事、日々の習慣など)と現在がなんだか異なる、と感じることがあります。
これをお読みの組合役員の皆さんは責任感や行動力、リーダーシップのある方が多いので「昔、自分が思い描いていた姿や期待値に近しいよ」という方が多いのでしょうか。
私は理想にはまだまだ程遠い......ということもあり、下記のような洗い出しをすることがよくあります。
・本当はやった方が良いと思っているけど、できていないこと
・時間ができたときにやりたいと思っていること
・つい習慣になっているけど、改善した方が良いこと などなど
そうすると、ぱっと見では数えきれないくらいの項目が出てきます。
さて、それを日常の中に落とし込むか......これが結構面倒ですし、単純に量が多いと継続も難しくなってくるんですよね。
そこで「30代の自分はどうなりたいのか」「直近で簡単に取り組めることは何か」を両方考え、洗い出した項目内で優先度の高いもの、または簡単なものに取り組むことにしています。最近私はひとまずヨガを再開しました(笑)
■何をゴールにするか
先程の話では数年後の理想の姿を踏まえ、取り組みの優先順位をつけましたが、本当は数十年先、さらに言えば最期はどうありたいか、まで思い浮かべられると良いのかもしれません。
例えばひと昔前の死生観として「安心できる家の中で、家族に看取られて眠るように死にたい」というものがありました。そのような想いがあれば、
・家族や親族との繋がりは大事に、コミュニケーションの機会は多く持とう
・多少費用がかかっても良いから自宅を心地の良い場所にしよう
・最期まで家にいれるように、諸々の手配等事前に話し合っておこう
という考えに至ります。
おのずと、自分が何に時間を使い、何を大事にするべきかが見えやすくなります。
やってみたいことは、いまのうちに思い切ってチャレンジしないと、意外と時間がないことにも気づくかもしれません。
■組合活動はフォアキャスティングorバックキャスティング?
では、組合活動はどうでしょうか。
・組合業務量が多く手が回らないが、活動の取捨選択も難しい
・特に若手社員は組合に興味関心を持たないことが多く、組合員離れがとまらない
・組合役員のモチベーションが低い、なり手がいない
・アンケートの回収率が低い、活動認知度が低い
労働組合の役員の方々からはこのような問題を伺うことが多いのですが、これらを改善しようとするとき、わたしたちは問題の原因に着目して、それを解消できるように対策を取ることが多いです。
緊急度の高いもの、短期的なものであれば、そのように動き、PDCAサイクルを回すのでも問題はありません。
ただし、複雑で長期対応が必要な問題の場合は、原因に着目するだけでなく、その活動目的や理想を考えることをおすすめします。なぜならば原因の解消に向けてのみ動いていると、「よく分からないが、思ったようにうまくいかない」と迷走してしまうことがあるからです。
可能ならば最上位の目的である「組合としてどう在りたいか」、数年先を見据えて考えられるとベストです。それをゴールに、バックキャスティングの考え方で優先度の高いものを選択し、抽象的なものから具体的なものへと落とし込んでいきます。
中央執行部は複数人以上いますし、支部や分会等の拠点もあります。
人が多ければ多い程、価値観は異なり、進むべき方向性を決めるのに時間・労力がかかります。
かつ、数年単位で入れ替わるとなると(往々にして、引継ぎにも時間が割けない)方向性に迷いが生じてしまう場合もあります。
そのため、数年単位でその時のメンバーで「在りたい姿」見直していけるとベストです。
ゴールを考えることが第一の目的ではあるのですが、メンバー内の価値観のすり合わせができ、組織の一体感醸成にも繋がるという大きな副産物を得られます。
問題を解決するためには原因の洗い出しや、出来ることを実践・PDCAをまわすことを意識することも大事ですが、活動の目的や理想を考えることも、とても重要です。
フォアキャスティングとバックキャスティング両方の視点で取り組まれることをおすすめします。
また、中・長期、数年単位での「組合の在りたい姿」も、少し面倒ですが皆で考えることで判断軸が定まり、組合活動がしやすくなると思いますので、是非お試しいただければ幸いです。
「在りたい姿」策定のお手伝いもできますので、お困りの際はご相談ください。

坂口 美幸j.union株式会社 活動促進本部
コロナ禍での運動不足を解消するべく散歩に励んでます