
VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)の時代に突入し、グローバル規模での地殻変動が止まりません。気候変動や環境汚染、食料・原料・燃料不足、資本主義の限界、格差拡大、ウィルスに紛争...。
「不都合な真実と事実」の眼前で私たちは途方に暮れたくなります。
日常の些事を理由に外の世界は見て見ぬふり(不作為の罪)もしたくなります。刹那的なSNS快楽に逃げ込むことも増えてきました。
しかしどんなに「先送り」しても事態は回復することはありません。悪化するだけです。そのつけは、私たち企業(組織)のステークホルダー「未来の子ども」たちに回されてしまいます。
今起こっていることを日本で言うならば「令和維新」。
維新とは革命であり、フランス革命や市民革命のような主客転倒を意味しています。「明治維新」は、国内の主客転倒が起こりました。環境変化を無視し鎖国に拘った江戸幕府と旧武士が滅び、世界を見聞してきた新しい文明人が明治新政府と新時代を切り開きました。
元農民で武士から商人と変化した渋沢栄一はその象徴かもしれません。
明治時代(明治4年「散髪脱刀令」)に入れば、武士は刀やちょんまげを捨ててよいのに変化しない武士も多数いました。
私の祖先は会津藩の武士でしたが、江戸幕府に忠誠を誓い、滅私奉公しましたが、末路は史実の通りです。
「令和維新」は、国内ではなくグローバルにスケールアップしています。
転換の方向性は、地球規模での「SDGs(誰一人取り残さない)」。
それは「エコノミー社会」から「ヒューマニティ社会」へのシフトとも言えます。
「消費者(買う)」万能主義、全てをお金で消費(交換)する時代の終焉とも言えるのではないでしょうか。
「モノは作るものではなく、全てお金で買うものであり、だからお金が大切」という価値観からの転換(転倒)です。
再発見されるのは「生産者(作る)」としての価値。
筆者も含めて多くの組合員は、既に食べるものも、家の修理も、教育も、遊びも、介護もお金で交換(清算)する生活になってしまいました。家庭での贅沢な食事のひとときも、子どもとの大切な時間さえも、生活のため、お金のため、住宅ローンのため、老後資金確保のための労働に追いやられています。
「結果(最短距離でのゴール)」を求めて「プロセス(寄り道での発見)」を捨て、「数値化できる客観と論理や有形なもの」を優先して「数値化できない主観と感情や無形なもの」を軽視し、何でも「お金(マネー)」で清算し、お互いさまの「交換(バーター)」や「贈与(ギフト)」を捨象してしまってはいないでしょうか。
ヒューマニティ時代に突入し組合が長年理念や運動方針に掲げてきた「ゆとり・豊かさ・つながり」を「結果やお金」から「プロセス」「主観と感情や無形なもの」「交換や贈与」重視へ転換している組合も増えてきました。
例えば、「春闘」も「春討(労使が春に本音で話し合う)」から「春灯(働く者を真に照らす)」へ。集団的な労使の話し合いだけではなく、上司と部下の、職場内での真に幸せになるための本音の話し合いに転換してはどうでしょうか。
旧来の組織体、会議体、活動内容......全てをゼロから見直す時期だと思います。
これ以上「先送り」していると坂本龍馬のような志士が組織からどんどん脱藩していきます。
永遠に変えてはならないものは、組合の原点「人とのつながり・職場での助け合い・仲間への思いやり・・・」。
私がおすすめする令和時代のユニオン版SDGsは、「職場(会社)の仲間を、誰一人取り残さない~職場全員に安全で安心な居場所があり、一人ひとりに尊重された出番があるような環境をつくること~」です。職場では半径5メートル(暮らしでは、半径30メートり)以内の活動です。
出自がヒューマニティであるユニオンなら、職場と会社から、社会を、地球の価値観をヒューマニティ社会へ転換できます。
正論を暗く根性で話していても多くの組合員は近寄っては来ない時代になってしまいました。
時代は、「ド派手に行こうぜ」の音柱にRock 'n' Rollされていますのでね。

服部 恵祐j.union株式会社 代表取締役社長
「ご機嫌な職場づくり運動」に夢中です!