j.union株式会社

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2022.04.24
これからの組合活動の行方 「つながり」の問い直し

先日、某産別から表題にあるテーマの講演依頼をいただきお話をする機会がありました。
組合活動が未来に向かって歩みを進めるには、改めて「つながり」というものを問い直す必要があります。では、その「つながり」とはそもそも何でしょうか? なぜ大事にする必要があるのでしょうか? また労働組合として、どのように「つながり」を再構築していけばよいのでしょうか? 

◆前提として・・・「在り方の変化」

「つながり」を考えていく上で、前提として、「個」の在り方が変化していることを理解する必要があります。
なぜならば、「つながり」には「個と個」「個と集団」という側面があるからです。

「つながり」の主体となる「個」の在り方は、近年急速に変化していると感じます。その背景には利益一辺倒でトップ階層によるトップダウンが通用しなくなったこと。一方で、多様な選択肢による豊かな生活を手にした市民の多様性の拡大。その意味では、「組織」主体から「個」主体の職場・組織・会社・社会の時代の幕が開けた、という認識に立って考えることが大事だと考えます。これは大きな変革期に私たちが生きていることを意味しています。

当然、「個」は、それぞれに幸せの感じ方・生き方・働き方に対して多様な価値観をもっていますので、今まで以上に自律的に組織や会社・社会に対して自らが「重なり」を見出していくことが求められています。一方で、組織や会社・社会は、その多様な「個」とどう柔軟に向き合って対応していくか「在り方」が問われています。

◆重なりのないところに重なりを創っていくことが「つながり」

労働組合が「つながり」を大事にする理由は、言うまでもなく労働組合が民主的な組織であり、構成メンバーである組合員の意思を反映した運営が求められる、まさに「個」主体の組織だからです。

企業内労働組合という側面から考えると、従業員であり組合員であるという立場をどうバランスさせるかが鍵となります。自身の内面と行動に、従業員という雇用されている立場と、組合員という自分たちの幸せのために組織にどのように働きかけていくかという立場が存在します。まずは、自身の内面と行動に、この両側面の重なりを創ることから始める必要があります。

また、「個」は組織との関係において、組織からの期待と自身の関心事の間に、重なりを創っていく創造的な目標設定や自己統制がより一層求められることになります。利益を追求するだけでなく、同時に社会への貢献や自身の成長・幸せの実現を自らが模索していく行為です。

これらは上司部下の「個別の労使関係」の中に埋没する可能性が高いので、労働組合としても、上司部下の「つながり」を今まで以上に注視することで、個別の問題から共通の課題へと昇華させるセンスが問われています。

◆労働組合に期待される3つの「つながり」

1.組合役員と組合員の「つながり」

先日実施したj.union Lab主催のLink survey(共同調査/14労組参加)で組合役員と組合員のギャップが一番大きかった項目は「組合活動に参加することで連帯感を感じる」という設問です。組合役員が55Ptに対して組合員が▲0.7PtというDI値の差がありました。

組合役員は組合員よりも組合活動への関与度が高く、部門横断的に人との「つながり」を実感するので、当然の結果と言えます。しかしながら、この「つながる」ことの価値を組織全体で創造するためには、労働組合の方針や運営に組合員の意見がどの程度反映されているかが問われており、今までの方針策定や運営に対して組合役員主導ではなく、組合員主体の意見の抽出が最重要になると考えます。

また、改選期や期の振返り時期に、組合役員が組合活動で得たものや掛け替えのない経験を棚卸し、次期リーダーや組合員に対して発信する広報力も問われることになります。

2.組合員同士の「つながり」

次に組合員同士の「つながり」ですが、これは従来の労働組合の専門部を中心とした組織体制を維持しながら、労組内にコミュニティを創造することが近道です。

労働条件などの労使間で決定すべき制度や規則の構築については従来の専門部に委ねます。一方の付加価値を生み出すようなテーマ(職場コミュニティづくり/心理的安全性/組織エンゲージメント/など)については、関心度の高い組合員を主体としたコミュニティ型のチームによって「つながり」を創ることでその成果を生み出すというストーリーです。

企業の昨今の取り組みにおいても、「個」が持ちうる知識やナレッジを最大限に組織に活かすべく、部門横断的に「つながり」をもって、本務以外に社内兼業として20%程度の時間を仕事に充当する仕組みに注目が集まっています。

労働組合も、従来型の縦割り組織による運営からの脱却を部分的に進め、中長期的に構造改革の実現を目指すスタートアップ時期に差し掛かっています。

3.労使の「つながり」

労使の「つながり」は、言い換えると労使関係です。
この労使関係も多様な側面をもっています。労使対等をベースに、労使共生や労使創造といった響きの良い言葉で表現されますが、より具体的に多面的に労使関係を設計するフェーズに入っています。

より具体的な労使関係を追求するためには、労働組合が組合員の安心および挑戦を促す経営に対する提案が出来ているか? これを労働組合における「経営対策活動」と位置付けていたのですが、この活動をより新化(深化)させるために、組合員が組合活動を通じて主体的に行動することで、自分たちの安心と挑戦を実現できているかを測定する必要があります。

上述のLink survey(共同調査/14労組参加)の結果では、「組合は組合員の安心を促す活動をしている」ではDI値57.8Pt、「組合は組合員の挑戦を促す活動をしている」ではDI値29.3Ptという結果となり、安心が貢献の2倍近いDI値となり、労働組合の付加価値を高める取り組みについては物足りない結果となっています。

より価値を感じる労使間の「つながり」を創造するための経営対策活動は、短期的な不安を取り除く領域と、中長期的な挑戦を促す領域の両側面から具体的なアイデアに基づいたプロトタイプの策定と実行を通じたトライ&エラーを繰り返すことで確立していくのではないでしょうか。

「つながり」とは、今まで重なりのなかったところに、今までとは違う重なりを創造することです。組合活動が創造する重なりが、組合活動の行方を決めることになります。

淺野 淳j.union株式会社 専務取締役

労働組合の集団的フォロワーシップ発揮を応援し続けて20年!!

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