
◆若手のアイデアを活かしたい!
コロナ禍、リモートワークの普及に伴う働き方の大きな変化、働く私たち自身の価値観や組織のあり方の多様化...
これまで以上に組合活動にも変化の波が押し寄せています。
次期の活動方針検討が本格的に始まっている組織も多い中、これからの組合活動はどうあるべきか、組合員にとって組合はどのような存在であったらいいのか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
こういった悩みに対して、若手の役員・組合員の発想や力をいかして活動を変えていこう、という取り組みを行っている組織も多いのではないかと思います。組合活動だけではなく企業活動の中でも若手活用は重要なテーマとなっているようです。
うまく若手メンバーのアイデアを取り入れて活動をブラッシュアップし、メンバー自身のモチベーションも高く成長を感じながら良い循環を生み出せている組織もある一方で、アイデアは出してもらったもののなかなか活動実践につなげられずにくすぶってしまうという組織も。
この違いはどんなところにあり、どうしたら取り組みとして成功させていくことができるのでしょうか。
◆ヒントとなる2つの「知能」
イギリスの心理学者、レイモンド・キャッテルは、私たち人間の知能には「流動性知能」と「結晶性知能」という2つの知能があることを唱えました。
<流動性知能>
新しい情報を獲得し、それをスピーディーに処理、加工し、問題を解決する能力。情報処理や直観力などにあたる。
25歳ごろにピークを迎え、その後低下していく。
<結晶性知能>
経験や教育、学習などから獲得していく知能で、洞察力、理解力、批判力や社会適応力などがそれにあたる。
20歳以降も上昇し、高齢になっても安定している能力。
加齢によって低下していく知能と、加齢に伴って維持・上昇する知能があるのです。
この理論に照らし合わせると、時代の変化や新しい情報を読み取り、それにあわせた問題解決をしていく力(流動性知能)をより高く保有しているのがまさに若手の皆さんということになります。
「とはいってもやはり年長者の持つ経験や知識などの結晶的知能も問題解決には必要だから、年長者からのアドバイスも重要である」と考えてしまいますが、ここに少し落とし穴があるようです。
変化を前提とした現代においては、ただ過去の知識や経験を活用すればよいということではなく、現状を分析し、そこにあわせてもっともふわさしい情報を活用して判断をしていく必要があるからです。
JILPT主任研究員 長縄 久生氏は「長期記憶に豊富な知識があっても、それを活性化し適切な反応を産み出す機能が低下すれば、パフォーマンスはやはり低下することが考えられるのである。」と指摘されています。
若手から出されたアイデアに対して、自身の経験から良かれと思ってアドバイスをしてしまう...というのは、後輩や部下を持つ方に共通する経験ではないでしょうか。
出されたアイデアや計画が、従来の経験や実績、定石から外れたものであっても、その判断を信じ、尊重して挑戦を促していく、というのも変化対応へのひとつのカギとなるのではないかと感じます。

藤栄 麻理子j.union株式会社 東京支店
休日を中心に細々とヨガを続けています。硬かった体が少し柔らかくなったり、ハッピーな気分でいられることが増えました。