j.union株式会社

労働組合の活動を
総合的に支援します。

2022.11.16
32年ぶりの大幅賃上げは労働組合の社会的使命

■世間が忘れかけているベースアップの必要性

賃金のベースアップの根拠は以下の3つに集約される。
1.物価上昇分:名目賃金を物価上昇率で割り戻した「実質賃金」の維持分=貨幣価値維持分。
2.生活水準向上分:国や企業が経済成長をするのに合わせて国民も経済的に豊かになる必然性。
3.可処分所得維持分:各種社会保険料率上昇や所得税率上昇による「手取り額減少」抑制分。

わが国では物価上昇せずデフレ傾向が長く続いたため、「物価上昇分」のベア要求は通らない時代が続いてきたわけだ。
消費者物価指数(CPI)の推移を見ても1996年にマイナスに転じて以降ゼロ前後で推移してきた。2013年に日銀が平成不況からの脱却を目指し2%の物価上昇目標(インフレターゲット)を掲げてもほとんど変動が見られなかったことは記憶に新しいことであろう。ところが、さまざまな国際情勢もあって昨年から今年にかけてインフレ局面が本格化しており、国や地域によっては歯止めが利かないほどの物価上昇を見せている。

■連合も経団連もかつてないほど賃上げに積極姿勢

本稿を執筆している2022年11月8日現在、連合の春闘方針は5%(ベースアップ分3%、定期昇給維持分2%)となっており、12月1日の中央委員会で正式に決定する運びとなっている。他方で経団連は7日、正副会長会議を開き、2023年春闘に向けた経営側の基本姿勢として、物価高を特に重視し、賃上げに前向きな対応を会員企業に求める方針案を大筋で了承した。さらに会合後に記者会見した十倉雅和会長は「物価上昇をにらんだ賃上げが大事だ。会員企業にベースアップを中心に考えてほしいとお願いしたい」と述べている。また、連合の示唆する5%の賃上げ要求にも「驚かない」こと、「賃上げと物価上昇の好循環」を目指したいとの談話を残している。

■労働組合としては「要求根拠」を構築して交渉する姿勢が重要

組合役員や組合員のみなさんもいつになく期待が持てる周辺状況ではあるものの、かつてのような「相場形成のため」という理由では説得力に欠ける気がする。インフレを理由とするのであれば、報道の数字や官公庁のデータだけではなく組合員の「生活実態(実感)」や中長期の「生活設計」に関する調査が必要だと考えられる。「月々の生計がどうなのか?」、「世代別、家族構成別ではどのように異なるのか?」など定量的に分析したうえで、対象者へのインタビュー調査などもできると「労働者=生活者の生の声」が分析できる。

■優秀な交渉者は相手の立場も考慮して戦術を整える

労働組合が賃上げ交渉する相手は経営トップということになる。一般論だが経営幹部クラスは数千万円の年収であり、組合員の「生活実感」には疎い一面があることはぜひ意識してほしい。さらに多くの経営者は「社員の賃上げ」に意欲はあっても株主からのプレッシャーも強いため固定費の上昇は判断が難しい一面もあるだろう。「労働組合からの強い賃上げ要求がある」という事実があれば、株主向けの説明もしやすくなるという見方もある。

■組合員には「仕事への熱意」と「職場の活性化」を呼びかけよう

経営者や管理職は想像以上に社員の「顔色」を気にかけているものだ。みなさんの会社では社員の活気がありますか?
イキイキと颯爽と仕事をしている人が多いですか?

もし自信をもって「はい」と答えられない場合は、労働組合として積極的に呼びかけていきましょう。交渉はGive&Take。
自分たちが得たいもの=賃上げ だけではなく、与えられるもの=熱意、職場の活性化 も周到に準備していきましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

労使が協力して「働くことを歓びに変える」。
すべての働く人々の幸せに貢献したい思いです。

大川 守j.union株式会社 取締役

労使が協力して「働くことを歓びに変える」。
すべての働く人々の幸せに貢献したい思いです。

« 前回の記事 次回の記事 »