
年も明け、組合活動においては春闘の要求項目や根拠策定の検討を始めていることかと思います。連合の芳野会長の今春闘はターニングポイント(転換点)の年であるという言葉、岸田首相の物価上昇分を超える賃上げを経済界に求める言葉など、いつになく注目が高くなっています。そんな中いろいろな組合役員の方とお話しすると、外部環境(情勢)と内部環境(自社の状況)を踏まえ、どうしようかと悩んでいるという声も多く、弊社への春闘活動についての支援のご依頼も増えており、私も携わる機会が増えています。
■労使発展へ向けた組合員・経営との対話へ
外部環境、自社の状況確認、労使での対話による会社意向の確認、組合員の実態把握や意見収集などを踏まえ、組合としての課題認識の明確化をし、賃上げや付帯要求を組み立てていくことになるかと思います。会社との交渉における基本的な考え方は、以下であると考えます。
・生産性向上を根拠に賃上げを検討する場合には、組合員が成し遂げてきた生産性向上の取り組みを把握して労使で共有し、今後も組合として組合員と共に生産性向上に取り組むことを経営とコミットすること
・以降も職場の生産性向上に貢献する中で、組合員一人一人のやる気を維持向上するために、組合員に対する会社からの感謝やできる範囲での処遇面(賃上げ以外でも)の対応を行うことが、経営に対する信頼とモチベーションの向上につながる旨を伝えること
・自社の業績が芳しくない場合には、生産性向上に向けて組合として協力できることを検討し、会社へ提言し、生産性向上の際には要求に応えるように約束を取り付ける
労使の発展に向けた、組合員・経営との対話の積み重ねが重要だと考えます。
■活動の総括を
春闘活動を支援する中で、よく感じることがあります。それは、春闘は組合活動の総括の場でもあるということです。労使発展(労使で良い会社にしていく)に向けた対話をするためには、下記のような日々の活動が土台になります。
・労使で対話をする場が、本部だけでなく支部や職場で定期的にあるのかどうか。職場での労使の対話の積み重ねが、課題把握や生産性向上の取り組みの共有につながります
・職場の役員が日ごろから組合員との接点を持ち、関係性の質が高いかどうか。意見集約の質やアンケートの回収率に影響します
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最近お話しした、ある組合役員の方の言葉が心に残っています。
「会社は、職場の課題解決やコミュニケーション促進はしているって言うけども...実際は現実は冷えた職場がある...。まあ会社は分かんないよね。そこは組合が把握できるし、取り組みだってできるよね。というか組合じゃないとできないよね」
組合だからこそできる温かな人間関係の構築と職場に寄り沿った声の収集、問題解決への日常的な取り組みこそが組合の存在価値であることは変わりません。これが組合活動の土台だと考えます。
春闘が活動の総括の機会でもあると捉え、今後の皆様の活動の活性化につながることを願っております。

清水 典明j.union株式会社 福岡支店
福岡に転勤以来、
九州・中国地方の食と温泉にはまっています。