journal_vol.303
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本講演は、廣瀬氏はキャプテンとして、石原氏は監督とコーチとして「チームづくりにおいて何を大事にしてきたか?」という対談から始まった。廣瀬氏が大切にしてきたのは「人間関係」と、常に「何のために勝つのか?」をチーム内で問うことだという。石原氏からは、人間的なことを中心に置いて「INACファミリー」と名付けたチームづくりを行っていたことをお話しいただいた。お二人の話は、「何のために勝つのか?」という問いを常に持つ点が共通しており、「フィールドに出ていない選手も含めて、いかに全員でチームづくりを行えるか?」という視点こそが良いチームに共通しているポイントだという。「良いチームを作るために何ができるか?」という対談で印象的だったのは、廣瀬氏は当時の日本代表のチーム運営においてリーダーシップグループという仕組みをつくりながら全員で「憧れる存在になる」という目標を設定したという点だった。試合に出られない選手でもメンターの役割を担うことで、全員でチームづくりを行い、メンバーの自発性を促していたという。石原氏の話では、サッカーの現場では11人しかフィールドに出られず、12人目以降は不満を抱くことはむしろ当たり前という前提に立ち、批判や意見を受け入れて、その選手と一緒に未来をどうしたいのか?と考えていくという点だった。一方で、実際の企業における仕事では、無関心層も多く、なかなかチームづくりには参加してもらえない、というリアルな相談も多く聞く。これに対して石原氏からは、「出されたものを食べるのが社員の義務だと勘違いするマネージャーが多いが、そもそもそういうマネージャーはメンバーが美味しいと思えるご飯を出せているのだろうか?」と指摘。マネージャー側がメンバーの気持ちや考えに合った課題を投げられていないという現実もあるのではないかというご意見をいただいた。お二人とも共通していたのは、無関心層や批判する層がいることが前提でチームづくりを進めていくべきだということ。そこで大切なのは、指示や依頼をした際に、「どう感じたか?」「どう思っているか?」を常に聴くことを忘れず、自分の熱量を伝えていくことが必要だと仰っていた。今回はスポーツ界のマネジメントのご経験からヒントをいただき、労働組合が中心においている「人」に関する活動の本質がたくさん詰まった対談となった。10元ラグビー日本代表キャプテン 今回のj.unionフォーラム2021の特別講演では、元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏と、INAC神戸にて澤選手や川澄選手とともに4冠を果たした元監督の石原孝尚氏をお招きし、「職場の本質をチームの視点から考える」というテーマで、労働組合の活動論や経営組織論の枠を超えたさまざまな示唆をいただくべく対談を実施しました。チームメイキングプロデューサープロサッカーコーチj.nin journa特別講演レポート①廣瀬 俊朗氏石原 孝尚氏職場の本質をチームのから考える視点視点

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