journal_vol.303
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まずはキャリアビジョンの具現化支援を現状における労働組合の課題取り得る具体的な方策心理的取引関係への反論キャリア自律支援への危惧ることが有効ではないかと思います。こう定義することで、たとえ「良い会社」のビジョンに到達できなかった、あるいはその取り組み自体の評価を得られなかったとしても、その経験値が積めたことそのものを価値とみなし、この経験は仮にどの会社で働いていくことになっても活きるものである、というメッセージの組み立て方ができると考えます。そして、その経験はビジネススクールでは得られない現場の知恵やコツである、という「希少性」、労働組合活動というリスクフリーの実験の場で積めるのだという「心理的安全性」を強調できれば組合員の動機付けが可能になると考えます。しかし、この「会社を良くする」運動の展開だけでは不十分だと考えます。「良い会社」をつくっていくにしても、そもそも組合員一人一人が、「自分自身は仕事を通じてどのような価値を発揮したいのか」「そのためにはどのような組織、環境、チームワークが必要なのか」という棚卸しができていなければ、「良い会社」の定義のしようがないからです。そのため、まずは働く一人一人のキャリアビジョンの明確化を支援して、そのビジョンをお互いに実現できる会社とはどのようなものなのか、という対話を促していく立て付けが必要になると思います。このキャリアビジョンの具現化については、組合役員が人力でやるというよりも外部のキャリアコンサルタントなどとパートナーを組むというやり方も一考の価値があると思います。例えば、上司との評価面談をターゲットとし、組合主催でキャリア面談の機会を設定、評価面談でどのような交渉をしていくかという作戦会議を行ってみる、という仕掛けを組み込んだ戦略は取り得るのではないかと思います。このような下ごしらえがあってはじめて、冒頭の「会社を良くする」取り組みへの参画意識が生まれるのではないかと考えています。現在労働組合が直面している課題としては、これまでも課題とされてきた組織率低下や組合員の組合離れ、格差拡大に加え、テレワークによって業務プロセスが見えなくなり結果偏重の考課となっている問題、キャリア自律・ジョブ型雇用の大合唱、フリーランス・ギグワークの拡大などが挙げられます。以上の課題に対し、労働組合として取り得る手段は以下のように考えています。①グループ企業を含む全従業員の組織化→労働条件の引き上げを目的として掲げるのではなく、経営理念の共有、多様な働き方の実現を目的とす②経営側の進める処遇の個別化に対応すべく、被考課者訓練による交渉力向上の支援を行う③②の補完として、職場内のチームワーク・付加価値の低い業務を見直し、職務互換力の形成を図るワークアウトミーティングの実施、小集団活動(ERG)の推進④組合役員リーダーシップ開発→管理職としての素養を育成して企業にお返しする竹内の述べた労使関係がドライなものになっているという現状認識について言及しておきます。労使で我々はどんな職場やどんな企業、どんな組織をつくっていきたいのかというビジョンが明確にないことが問題なのだろうと思います。そこから賃金人事制度がどうあるべきか、ということにまで言及する。組合役員にとっては大変責任重大で能力や知識が求められますが、避けて通れない話だと思います。また、労働組合が組合員のキャリアる7j.nin journa

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