journal_vol.303
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◆西尾による本セッションのまとめ◆主催者まとめ現場の実態・事実を分析して見いだされる方向性を示唆するという述べ方をします。未来組織(企業)がどうなろうと、上司部下の個別的労使関係での自律性、経営への参画に収れんしていくのは避けられないと考えています。そのような場で承認・評価が得られる労使関係が求められています。経営分析よりも、労働組合として考える企業のあるべき姿や運営方法をまとめ、さらに組合員の要請や期待を調査して、現実の企業経営との間のどこにズレなどが生じているのか問題提起(診断)する力が求められます。被考課者訓練の意義や価値が組合員に認識されていないうちは、労使共催や、労働組合主催では動員型(ほぼ強制型)にして開催していくことがお勧めです。被考課者訓練を実施しなくても、目標管理・人事考課制度の運営実態アンケート+インタビュー調査をして、その分析結果を広報していくというやり方でも、教育効果は生じます。すなわち個別労使交渉・協議力と職場自主管理力を持つことだと捉えています。等価交換を求めるのは人間の心理なので、それを否定できません。問題なのは、組合員が今の組合活動は等価交換になっていないと判断していることです。それはどこから生じているものなのか調査分析する必要があります。もし、組合活動とは「贈与の思想」で取り組むものだということを組合員に伝えたいのならば、それはどのような組合活動なのか、具体的に明示する必要があります。若い世代のニーズが個別的労使関係での分権的組合活動、労働組合として存在意義をどう高めるのか、結局は執行部なりに経営分析し、提案するという従来の手法に帰着してしまうように感じるが、他に手立てはあるのか。弊組も西尾氏同様の問題意識を持ち、被考課者研修を開催しているが、組合員が参加せず苦労している。どのような仕掛けが効果的か。ていかなければならないという現実がある一方、組合費とそれに見合う便益との等価交換の論理だけでやっていくと壁にぶつかるはずだ。等価交換の論理を超越したところの組合の存在意義も伝えていかないと組織として持続できないのではと考えているが西尾氏はどう考えるか。新しい世代の新しいニーズに応えられる組合活動を創造し本日のまとめとして一言付け加えておきます。利己的に見える組合員が増加して対応に苦慮されている組合役員さんも多くいらっしゃると思いますが、そんな人にこそご理解いただきたいのは、実は究極の利己主義者は利他主義者だということです。人は職場の仲間のために何ができるかを真剣に考えたときに初めて、職場の仲間や上司から支援を得られるのです。そのことが分からずに自分の利益ばかりを考えていてもちっとも実現しないよということは組合員に伝えて良いと思います。そして私は、そのことを学べるのが労働組合活動であると確信しています。そのことにぜひ皆さんも自信を持っていただいて、活動に取り組んでいただければと思います。当日は、西尾説に対する「社内価値向上へ偏重することの危険性」、竹内説に対する「資格習得支援的学習に陥ることへの懸念」と、互いが互いに問題提起をした段階で時間切れとなり、これ以上の議論の深掘りはかないませんでした。しかし、令和の時代における労働組合の価値を形作る「素材」は、一定程度列挙することができたのではないかと考えています。おそらくその素材の組み合わせは、一通りに単純化できるものではありません。今後も特集を通じて、「令和版労働組合モデル」のプロトタイプを提示しつづけ、多様な労働組合のあり方を提言していきたいと思います。j.nin journaAQAQAQ9

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