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事例紹介

2020.07.09
組合員の「人生資産」を高めていく ための支援 ~LIXIL労働組合の取り組み事例~

働き方改革が叫ばれてはや数年が経過した今、さまざまな施策の導入や運用が開始され、成果や課題が顕在化してきた組織も多いだろう。その施策に夢中になって取り組むと、いつからかそれを達成することが目的となってしまい、本来の目的を忘れてしまうことがある。特に働き方改革のような長期に及ぶ取り組みはそのようなことが起こりやすいであろう。 今回インタビューしたLIXIL労働組合も、そのような局面を迎えて改めて働き方改革の目的に立ち返り、組合員支援の取り組みを再定義するとともに、活動を再構築し3年タームのプロジェクトで動き出した。今回は第1弾として企画に込めた思いや背景を中心にご紹介する。

ー組合員の「人生資産」を高める取り組みを企画・実施した背景や理由を教えてください。

私たちLIXIL労働組合には「笑顔を創ります。守ります。育てます。」というミッションがあります。働き方改革の推進は、私たちのミッション実現のための重要な活動の一つと位置付けています。会社も、さらなる成長と変革を加速させるために「変わらないと、LIXIL」に取り組んでいます。これまでも柔軟な働き方や、主体的に働くことができる環境を整備するために、労使でさまざまな対話を重ねてきました。そして育児時短勤務取得期間延長やフレックス勤務制度拡充、在宅勤務やサテライトオフィスといったテレワーク制度などを導入したり、時間外勤務削減や有休取得推進に力を入れ、制度や運用の充実を図ってきました。しかし実際に制度を運用してみると、それぞれの仕事の特性や業務負荷、制度に対する理解のバラツキに加え、変化が激しい環境などから制度を十分に活用できていない、時間外削減や有休取得推進が思うように進まない現状が明らかになってきました。そのような声を受けて、ブロックや支部の労使協議会で課題解決のための対話を進めていましたが、ついつい「もっと使いやすい制度を!」「どうしたらみんなが使えるようになるか?」など「制度の利用」という戦術的なところに焦点を当てていて、「何のため」という目的を見失いがちの議論や対話になっていたことに気が付きました。充実した制度がそろっていても思うように運用が進まない背景には、労働組合の組合員への伝え方や推進の方法にも課題があったということです。そこで私たち労働組合が、働き方改革を通じて実現したいものは何か?ということにもう一度立ち返り、その具体的な施策として、「人生資産」を高めるという活動にかじを切りました。

ー具体的な取り組み内容を教えてください。

「人生100年時代」「70歳雇用検討」「老後資金2000万」「公的年金支給開始年齢引き上げ検討」など、私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。まずは、このような環境変化を執行部と中央委員で共有し、理解の統一を図りました。その上で、制度改革の視点よりもまずは本質的な意味を理解するために「今後どう働いていくか」という上位概念のテーマを役員間で議論しました。そして私たちが目指す働き方改革を「組合員一人ひとりが、人生についてありたい姿を描き、それぞれのライフステージの中で主体的に働き方を選択し、私たちと会社を成長させること」と定めました。これらの実現のためには人生資産の中でも「お金(経済資産)」「健康(人的資産)」そして人脈を広げていくために「他者・他社交流(社会資産)」を充実させることが重要だという仮説を立て、これらに焦点を当てた活動をしていくことにしました。実施項目は左記の表の通りです。現在は①、②まで実施しています。
ワークブック(機関誌)では『働き方改革NEXT』という特集を組み、働き方改革の実現のために「お金(経済資産)」「健康(人的資産)」「他者・他社交流(社会資産)」を軸に活動を進めていく目的を丁寧に伝えていくことにしました。また3つの資産それぞれのポイントを掲載し、組合員への理解を促進しています。目的の説明だけでなく、自身の資産を棚卸しして自分の人生資産を可視化できるワークシートを盛り込みました(下記画像参照)。

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この機関誌を通じて組合員に「今をどう生きていきたいですか?」と問い、自身の人生資産を見直す機会を提供しています。加えて労働組合がそれらをサポートしていきます、というメッセージも込めており、職場集会などで活用してもらう予定です。また、先行して役員対象にこのワークブックを活用したセミナーを開催し、まずは役員から、各自の人生資産について問い直すきっかけをつくっていきました。ブロックや支部でのセミナーも今回のプロジェクトに連動させ、実施していく予定です。「お金」の面では、既に会社(企業年金基金)でセカンドキャリアに対するセミナーが実施されていることから、組合では別の角度から働き盛り世代の稼いだお金の有効な使い方や、税制のしくみを理解することなどの全般的なマネー教育を想定しています。「健康」についても、健康保険組合との共催や組合ならではの内容としてデスク周りでできるストレッチ、睡眠に関することやお酒の飲み方など、組合員の生活にピンポイントで役立つ企画を考えています。

ー他者・他社交流(社会資産)の取り組みについても詳しく教えてください。

「他者・他社交流(社会資産)」に関しては、ポイントが二つあります。一つ目は組織内でのつながり強化です。今後は、職種間交流会や、定例化しているレクリエーション活動についても、このプロジェクトの意義や意味を踏まえて実施していきます。そしてレクリエーションに積極的に参加してもらうことで横のつながりを深め、社会資産を増やしてもらいたいという狙いがあります。二つ目のポイントは異業種交流会の実施です。こちらは既に、組合役員を対象に複数回実施しており、製薬、電機、百貨店などといった異業種組合と交流を図りました。そこでは「オープンイノベーションワークショップ(新規事業開発)」や「働き方・生き方について考えよう!」「あなたにとっての働きがいとは?」などのテーマを設定し、他社との対話を通じて、自社の強み・弱みに加え、自身の生き方や働き方について、新たな気付きや視点を得る機会となりました。日々同じ職場で同じ仲間と一緒に過ごしていると、お互いの価値観や考え方を理解したコミュニケーションが図れる一方で、新たな価値観や考え方に触れる機会が限られてしまいます。異業種の方々との交流により仕事の原点を思い起こしたり、楽しさ、やりがい、組織の外に視野を広げることの必要性を感じたりと、自己研さんの大切さを学びました。
参加した役員からも「新しい視点や気付きを得た」「とてもいい刺激があった」「いかに自分の世界が狭かったのか」「こんな視点や考え方があったとは」「自身の視野が広がった」などと好評でした。今後は、異業種交流会を全国各地で実施していく予定です。

ーこれら「人生資産」に着目した活動の効果はいかがですか。

まだまだスタートを切ったばかりの取り組みですので、大きな効果を感じるのは先になると思います。しかし既に実施したセミナーや異業種交流会では、参加者から好評をいただき「人生資産」に着目した活動の意義を感じています。
今回の取り組みは、組合員の働き方改革実現のために「人生資産を高める」ことを目的としていますが、一方で役員育成や組合役員のなり手不足の解消もねらっています。異業種交流会の対象者は現在、原則役員としています。これは役員を務めることのインセンティブになると考えるからです。会社の研修は全員受講可能なものがある一方で、選ばれた人しか受けられないものもあります。しかし、労働組合の研修は、組合役員になりさえすれば本人の希望とやる気だけでさまざまな研修を受けることができます。研修によりスキルや知識の向上を図れることに加え、未知の領域に触れたり、会社とは異なる視点でものを考えたりすることで自分の中に眠っていた新たな能力に気付く可能性もあります。これは労働組合流の人材育成だと考えており、「人生資産」形成の一つの手段として捉えています。

ー「働き方改革」における今後の展望をお聞かせください。

自分がどう生きていきたいのか、ありたい姿を描き、実現に向け行動していくことは、働き方の選択にもつながると考えています。また、何かのきっかけでLIXILを離れた組合員も、LIXILファミリーの一員としていつまでも笑顔でい続けてほしいと願っています。「人生資産を高める」活動を通じて、みんなの笑顔をつくり、守り、育てられるよう、さらなる取り組みに注力していきます。
新型コロナウイルス感染拡大により、人と人とのつながりや触れ合いを大切にしてきた私たちの活動も大きな影響を受けています。「人生資産」を高める活動も、会議形式での接触型を前提に企画していましたが、オンラインなどの非接触型を取り入れるなどのトライアルを実施しつつ、今後の取り組みを練り直しています。加えて、新型コロナウイルスによって、一人ひとりの健康と安全があってこその社会であることを再認識させられました。生き方や働き方に対して、これまで一般的とみなされてきた概念や価値観が変化しつつある今、人生資産について考えることが、組合員の笑顔につながると信じています。
LIXIL労働組合は、組合員の「人生資産」を高めるための機会提供と支援に全力で取り組んでまいります。

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▲LIXIL労働組合のキャラクター

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担当者より一言

当取り組みに開始するまでに、LIXIL労働組合様とはたくさん意見交換を行いました。 働き方改革推進の一つとして、当取り組みを位置づけておりますが、会社側も既にさまざまな取り組みを開始しており、組合員の目線からすると、会社と同じような取り組みに感じられたり、本質的な意義が伝わらずに、風化してしまうのではないかという懸念がありました。そこで「組合活動でしかできない取り組み」という観点で、窓口の野中書記長とは、さまざまな視点で議論しました。 打ち合わせの中で大切にしていたポイントは、組合のミッション(使命)「組合はみんなの笑顔を創ります。守ります。育てます。」です。 組合員の価値観や働き方が多様化している中で、いかに「笑顔」創り、育て、守ることができるか、そのためにはどんな活動が必要か、意見を重ねてきました。 その結果「人生資産を高める」という点でイメージが合致し、本格的に活動が開始されています。 定年退職後の人生までを見通して、組合員を支援するLIXIL労働組合様の活動は、本当に素晴らしいと思います。 これからも少しでもお力になれるよう、精一杯努めて参ります。【正道寺 博之】

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